フィジカルシアターカンパニーGERO「家族という名のゲーム」(2018.06.28)

昨日はかるぽーとにてフィジカルシアターカンパニーGERO「家族という名のゲーム」を見てきましたよ。例によって感想文。
キムさんは自身が立ち上げ、多くの素晴らしいダンサーを輩出したカンパニー「輝く未来」を解散した後、表現の第一線からは少し退いていたイメージでしたが、2015年に新たなカンパニー「GERO」を立ち上げました。
ちょうど新カンパニーを立ち上げようとしていた時に高松で行ったワークショップを見学して、かるぽーとの事業の相談をさせてもらったのですが、そこで新カンパニーの構想(メンバー全体で実験していく作り方とかカンパニー名wとか)や作品の構想(身体だけでなく、言葉や声へのアプローチなど)を伺っていて、従来のダンスとも演劇とも違う、新しい表現がどんなものか期待に胸を膨らませたことでした。
地域の表現者と作った実験公演「高知GERO活動プロジェクト」を経て、最初にお話を伺ってから3年越しに高知で実現したカンパニーの本公演。ちゃんと思いを継いで実現してくれた事業団の担当職員に感謝です
作品は「家族という名のゲーム」というタイトル通り、家族という一番コアな共同体の危うさを描いていました。
何気ない家族の会話をサンプリングして、意味を持たせずに羅列していく構成。言葉と身体もリンクしたりしなかったり(意味を持たないと言いながら、ところどころに八木さんが挟んでくる言葉のセレクトとタイミングの良さには笑ってしまいましたけどw)。熱を帯びたり失ったり、少しずつエスカレートしていき、まるでキムさんの指揮の下、楽器のように、テルミンのように音を発する皆さん。
「輝く未来」の時のように、ギリギリの身体性や感情の炸裂を表すのではなく、「わかり合えないことをわかり合おう」とするような、そのまま自分たちの日常に繋がっているようなコミュニケーションの不思議さが舞台で展開されます。
エンディングの食卓とおぼしきテーブルをキムさんが引っ張って離していく場面、何気ないことで崩れてしまいそうな家族の関係を表していたように思えて、なんとも印象的でした。
とは言え、かなり観る人に委ねるような作品だったので、普段は答え合わせのようなアフタートークは好きじゃないのですが、今回に限っては作品をどうやって作っていったか、お話を聞いてみたかったなー。
まだまだ実験を重ねていきそうなGEROの活動ですので、今回のアプローチが今後どうなっていくか楽しみです。
また皆さんと高知でお会いできますように!!