南河内万歳一座「〜21世紀様行〜 唇に聴いてみる」(2019.06.12)

先日は一心寺シアターにて、南河内万歳一座「〜21世紀様行〜 唇に聴いてみる」を観てきましたよ。例によって感想文。
 
僕が万歳の作品を初めて観たのが2005年の「みんなの歌2」という作品です。
絶妙な社会の描き方と「この社会であなたはどうするの?」って投げかけが衝撃的な、僕が演劇に引き込まれたきっかけとなる作品なのですが、実はこの当時の内藤さんは執筆にかなり苦しんでいた時期だったそうで、「みんなのうた2」はひとつの転換期のような作品だったようです。
 
ということは、それまでの内藤さんの作品はどんなのだったんだろう?と再演作品を観ていくと「青春」「孤独」「焦燥感」「無茶苦茶」なんてキーワードが飛び込んできまして、それらをひっくるめたものが若かりし内藤さんの頭の中でメラメラと燃えていた「六畳一間シリーズ」と言われる作品たちなんだろうな。
そんな初期万歳の代表作と言われる「唇に聴いてみる」が、旗揚げ40周年を迎えるタイミングで、23年ぶりの再演となりました。
 
23年前と今回、両方の舞台に立つのは、内藤さんと鴨さんのおふたりのみ。
当時の看板役者だったジローさんも味楽さんもこの舞台にはいない
でも、間違いなく「万歳一座ここにあり!」と思える、素晴らしい作品でした。
 
胸をかきむしりたくなるような、いつかの少年の記憶。
生きることとロマンが地続きのような男。
これ以上ないくらいにバカバカしいことを全力でやり遂げる熱量。
喧噪と静寂が裏返しのように展開される舞台の「絵」としての美しさ。
それらを一瞬の隙も作らず、全力で体現する、南河内万歳一座の団員、勇者、スタッフのみなさん。
 
作品のモチーフ、構成、美術、音楽、照明、そして俳優が見事に一体になった、万歳の39年の歴史のわずか14年しか知らない自分だけど、それでも14年間追いかけてきて良かったなーと思える、ある種の到達点のような感動でした。
 
万歳のみんな、本当にありがとう。
 
そして到達点と書きましたが、きっとこれは、みんなの新たな出発点でもあるに違いない。
ここから先の万歳が何よりも楽しみだし、気合いを入れて応援していこうと、強く、強く思った次第です。
 
あー、おもしろかった!
みんな、千秋楽までファイトやー!!(と、全く具体的な感想になってない感想文でした!!)