演劇祭KOCHI2019のトリを飾ったのは、高知大学演劇研究会さんの「にしむくさむらい」でした。例によって感想文。
代替わりを続けていきながらも、どこかしらポップな作風が続いていた高知大さんですが、昨年の冬公演そして今回とハードな作品に挑みました。若いみんなが演劇を通じてどう社会に向き合うか、しっかり取り組んでいる姿勢は、とてもとても頼もしく思います。

今回の作品は高知にも縁深い、劇作家の別役実さんが40年前に発表された戯曲で、別役ワールドが炸裂する不条理劇。
電信柱(上手いこと作れてたなあ!)が印象的な路上に、布団を敷き、それを餌にやってくる乞食を殺すための装置を準備する女と、翻弄される男。
やがて、それぞれのパートナーが現れ、煮え切らない、結論を伸ばして逃げ続ける2人の夫をそれぞれのスタイルで追及する2人の妻という形から、社会に追い詰められ、押し出される2組の夫婦に視点が変化していきます。
「あれ」「それ」といった指示代名詞が台詞に溢れ、それぞれが都合良く解釈していく、会話を重ねていくことで関係が破綻していったり戻ってきたりする戯曲の巧妙さにしっかり挑んでいったみんなの頑張りは素晴らしかったし、乞食の男の聡明な描き方も、夫婦との対比がしっかり出ていてよかったなー。有無を言わせず一気にエンディングに突入するスピード感も圧倒されました。
余談ですが、ベンチに置いた包丁の扱いが雑だったので、きっと刃がない小道具だろうなって思ってたら、まさかあの包丁でロープを切るなんて!と二重の驚き(ケガしなくってよかった)でした。

アクティングエリア、蛸蔵を斜めに使う形ははじめて見ました。斬新。
道の両サイドに客席を設置したことで、向こう正面のお客さんの顔が見えるようになったのは意図したものなのかなー。終演後に演劇祭を振り返るトークも予定されていたため、今年の演劇祭の出演者やスタッフさんがたくさん集まった客席で、特に1列目真ん中に座った行正さんとしおりちゃんの豊かすぎる表情が出演者を喰うような場面もあって、ある意味面白い反面、劇世界に没入できないもったいなさもありました。
あと今回上演中は大雨で、雨音が響く中、両サイドに客席があったのは、台詞を届けるのも大変だったんじゃないかと思います。そんな中、外で大きな雷がなったのを、舞台上で無かったことにせず、しっかり演技として反応した中野コナン君にファインプレー賞を贈ります。

総じてみんなの頑張りが光った、良い作品でした!
この流れで蛸蔵ラボに、冬公演に、これからの活動を楽しみにしていますよー!