ベビー・ピー「ラプラタ川」(2019.09.21)

昨日は丸の内緑地にて、京都の劇団ベビー・ピーの「ラプラタ川」を観てきましたよ。例によって感想文。
 
いやぁ…面白かった…!
テント芝居ならではの猥雑な感じを出しながらの舞台の効果的な使い方、そして時代と場所を飛び回る作品の構成の見事さ!
その上で、何よりも胸に響いたのは物語そのものでした。
 
フライヤーを見て、20世紀初頭に南米に向かった日本人をテーマに書かれたということは知っていて「何故、今このテーマで書くんだろう?」という疑問から入ったのですが、なるほど、まさしく今の、僕らの物語でした。
 
例えば明治時代に高知から何千世帯の方が移民団を結成して北海道の開拓に出たお話や、アントニオ猪木さんの一族がブラジルに移住して、劣悪な環境の中で肉体労働をされていたなんて話は知っていたのです。
また終戦後、アメリカ軍政下となった沖縄から多くの方が本州に移り住んだものの、移住先での差別が強く、みなさんが生きていくために団結してリトル沖縄的な街を作ったというお話も最近読みました。
さらに愛知県豊田市に行った時に、ブラジル人労働者の方のコミュニティがあるってお話も聞きました。
 
自分の知識として知っていることが、そのまま舞台の上で生きた言葉や感情となって表現されるこの感覚。
 
物語の中で描かれる、日本からパラグアイに移住した人たちと地域の人が繋がる場面と、南米から日本に出稼ぎに来て、心を無くしてしまう人たちの差。
存在をないものとされる苦しさ。
「まなざしてください」という言葉。
今さら声に出すこともなかった「縁の大切さ」と、「伝えること」の重要さをあらためて突きつけられた次第です。
 
彼岸の日、真西に沈む太陽の先、遙か彼方の世界に思いを馳せる場面。
激しい世の流れの中、新しい場所を求め懸命に生きた人たちと、ひとりの友人のために突き動かされていく現在の登場人物の重なり方もなんとも美しい、本当に素敵な作品でした。
 
幕間ゲストの年頃男子も相変わらずのクレイジーさでしたw。
なかひらさんもお疲れさまでした!
 
なお、終演後にご案内がありましたが、現在テント公演の費用が予定以上に大変になっているそうで、クラウドファンディングでの支援も受け付けているそうです。
ご興味ある方はぜひ覗いてみてください!(願わくば、この公演のDVDのリターンがあったらなー!!)
https://motion-gallery.net/projects/laplatagawa