シアターTACOGURA「バーサよりよろしく」(2014.09.07)

本日は東宝マンガ祭りならぬ、蛸蔵演劇祭りなのです。1日で2本の作品を鑑賞するのです。仕込み替えはどうするんだとかはさておき、贅沢な1日なのです。
1本目はシアターTACOGURA旗揚げ公演「バーサよりよろしく」。例によって感想文。

シアターTACOGURAは、蛸蔵が多目的スペースとしての機能から一歩踏み出し、「ものを生み出す」場所になるために立ち上がった劇場付きのカンパニーとなります。その目的はなにか?キーワードは地域密着と、世代間交流=社会問題の提起や考える場を生むといったところでしょうか?まず旗揚げ公演になぜこの戯曲を選んだのか、意味を考えながら見ておりましたが、PPTの席で代表の藤岡さんが話された内容を要約するとこんな感じだと思います。

舞台はセントルイスの娼婦街、竹内理香さん演じる、心の傷を負い、働くことのできなくなった娼婦バーサと、売春宿の女将として娼婦達を取りまとめる井上杏里さん演じるゴールディを中心に物語は進みます。心の傷を負ったバーサは狂ってしまっているのか?遠く離れ、裏切られてもまだ思いを寄せる男性への気持ちの純粋さは何のためなのか?

娼婦として隆盛を極め、そして落ちてく女性を中途半端な救いもなく描いた作品ですが、そこで生きる女性はさまざまな感情に振られながらも強い生のエネルギーを放っていました。竹内さんの持つ人間力の強さ、それを受けて動揺し、時には強く突き放そうとする周りの女性達。そこに立つ役者の発する力と受ける力のせめぎ合い。これが演劇が持つ一番強い部分なんだろうなーと思いました(もっと感じてもっと動いたらーってとこもあったっすけど。)。

PPTで藤岡さんが言ってた「現在の社会問題を広い世代で考える」「そのために時代を超えた名作に取り組む」という言葉と、今回の作品。なるほど、これがシアターTACOGURAの向かう道筋なのね。僕らの仕事同様、きっとすぐに結果なんて出ないけど、あきらめずに粘り強く「地域密着の創造集団」として活動をしていってほしいです。

そしてその目標のためには、高知の演劇シーンはそんなに大きいものではありません。どうか演会はじめ、多くの劇団や関係の方と良い形の協働関係を築いていって欲しいなーとも思います。

写真は会場で買わされ…いや購入した、蛸クッキー。制作陣も気合い十分、女子力バッチシで、こういうところも嬉しいですね。