空晴「予定のあと先」(2020.10.05)

昨日はHEPホールにて、空晴「予定のあと先」を見てきましたよ。例によって感想文。

大阪に演劇公演を見に行ったのは、今年3月のボラボラ以来、半年ぶり。
そのボラボラの公演前に、空晴のべっちさんと6月に予定していた高知公演に向けての打ち合わせをしたなー。
できるかどうかは分からないけど、ギリギリまでやるつもりで、そのためのプロモーションをどこで打つかなどなど。
そんな打ち合わせの端々からも、先が見通せない不安や憤りを出し合っていた当時から、半年経ちました。

残念ながら6月の番外公演は延期となり、秋の本公演は東京公演が中止となりながらも、それでも大阪公演は実現させて、そして配信公演もチャレンジされるなど「やられっぱなしでおるかい!」ってこの感じ。なんだかそのまま空晴の歩みにも繋がっているように思えます。
そんな空晴の劇団運営、好き。好き好き。

さてさて今回の作品「予定のあと先」につきまして。
タイトルからも感じるように、このコロナ禍の中、いろんなことが予定通りにならなかったなんてことが描かれるのかなーと思ってましたが、現在を俯瞰する視点は感じながらも、あくまでも空晴の劇作のフォーマットを崩さない、愛すべき人間達を描く作品となりました。

しかし、テーマは前回の本公演「明日の遠まわり」と同じくらい、重い。
冒頭の「本当はもっと明るい話をしたかった」という台詞。
月並みな幸せと、自分で選んだ道。

家族や恋人は100組あれば100通りのバランスがあるので「○○さん、ホニャララだから大変ねー」なんて当事者以外の基準なんて、ウンコだと思うのです。
その人同士でしか分からない繊細なバランスと、だからこそ離れるしかなかったであろう事情。
空晴はいつも、作品の中で登場人物の内面の葛藤を描きながら、最後は何かしら心の中のしんどい塊が少し溶けるような描き方をされるのですが、今回はテーマがテーマだけに、あえて描ききらないように作られたのかなーなんて思ったことです。
舞台上では描かれなかった登場人物の関係について、終演後にアレコレ想像して「こうやったんやろうかねー」なんて語りあいたい作品でした。
特に、今回のゲストふたり、キャラメルボックスの坂口理恵さん、そして浪曲師の春野恵子さん(舞台で見るのは万歳の「満月」以来だ)の姉妹の描き方、互いが持つ相手への想いが、客席の受け手によって全然違って見えるんじゃないかなー。

そしてそんな重いテーマを払拭するようなちーやんと南ちゃんの姉弟役の突き抜け方w。
空晴は毎回劇団員の役どころの関係が変わるのですが、今回の2人の役どころとキャラクター、最高でした。

愛すべき空晴の「変わらない」面と、進化していく作風、いずれも最大限に堪能させてもらいました。
本日千穐楽!最後まで頑張ってくださいねー!!