「ワタシの青空 西遊記異聞」(2021.10.14)

FESTA松本3本目は「ワタシの青空 西遊記異聞」
会場は地元マスコミさんが建てられた商業施設やアートスペースなどが混在する信毎メディアガーデン。
会場の雰囲気もガラリと変わり、そして上演された作品がさらに突き抜けたものでした。
舞台はキャバレーのステージを思わせる空間で、ドラムとピアノが置かれ、ミラーボールが回り、出演者がトロンボーンやサックス、ヴァイオリンを演奏し、歌い踊るミュージカル仕立て。
「妖怪がいて危険だから」と昼間は学校以外家から出ず、夜になったら街を散歩する少女が出会った猿は孫悟空で、どうやら青空を食べた妖怪を追っているという、もう何が何やらの物語。そんな中で響く台詞の断片断片がまるで詩のようで、ストーリーを追うことよりも、言葉の切れ端と魅力的な舞台構成と出演者と音楽に身を委ねる観劇体験でした。ああ、アングラ万歳。
印象的だったのはラスト前のカバンのシーン。
女性ダンサー3人組のなかで、少し控えめだった印象の加賀さんが細川さんとこのシーンを務めたのですが、小さなカバンに青空を閉じ込めて、いつでも見られる加賀さんと、大きなカバンに鍵をいっぱいかけて閉じ込めた細川さん。
今と、先と、後ろの時間軸。物語だけでなく、観客一人一人の記憶や隠しているものを突っつかれるような感覚でしたよ。
おそらく観劇ごとに気付いたり引っかかったりする箇所が違うんだろうなー。もう一回観たい!と心から思う作品でした。アングラ万歳!