劇団33番地「アジスアベバ」(2015.10.31)

先週の土曜日に、劇団33番地さんの公演「アジスアベバ」を見てきました。諸事情ですっかり遅くなりましたが、思い出しながら感想文。

33番地さんはもう結成10年くらいになるのかな?市民ミュージカルの中心メンバーであったチャーリーさんが立ち上げたオリジナル演目を上演するミュージカル劇団です。
演劇、楽曲と歌、ダンス、それぞれの要素をしっかり創り上げないといけないオリジナルミュージカルは、通常の演劇公演や音楽・ダンス公演と比較してもやるべきことが山のようにあり、そのどれかをないがしろにしたら、ミュージカルとしての完成度はがくんと落ちてしまう。それでもあえてオリジナルのミュージカルに向かい続ける33番地。いろんな意味でストイックながらも、しっかり活動を続けているのは素晴らしいことだと思います。
(余談ですがミュージカルの裾野を広げる役割なんかは、うちのような文化行政サイドががんばっていかねばなーとも思うところです。)

さて今回の作品「アジスアベバ」。
閉塞感を感じる日常を生きる登場人物が、不思議な世界の入口を見つけ、「ここを進めば、なにかが見つかるかも知れない。何かが変わるかも知れない」とその世界に飛び込みます。そこで出会う不思議な人や怪しすぎる猫、過去に咲く花、今に咲く花、未来に咲く花。すこしずつながらも「この毎日をしっかり生きることこそが明日に繋がるのかな」という元気をもらえるような、相変わらず不可思議ながらもぬくもりを感じるチャーリーさん節溢れるお話でした。

今回出演されたのは全員市民ミュージカル「音の旅人」に出演された方で、相変わらずキャラクター濃度が高い皆さんでしたが、その中でも33番地として初めて舞台に立った、さやかさんの凛とした立ち姿が非常に印象的でした。
宇佐さんも新しい役どころ(最初誰かわからなかった…)にしっかり向き合い、挑戦していたのもステキでしたし、坂井さんの飛び道具っぷりもお見事、原田さんの朴訥な演技は毎回ドキドキしながらも癖になりますな。そしてチャーリーさん…えーと、腹筋ステキでした。

一方で気になったところは、袖がない(袖幕を仮設した)民権ホールのため、出ハケは客席後方という形でしたが、頻繁な客席出ハケは客席後方の準備の音なども含めて、ちょっと見る人間の集中力をそがれるように感じたのと、見応えのあるダンスシーンがもう少しあったらよかったかなーなんて思った次第です。
歌は皆さん、さすがでしたね。願わくばMASACOさんのお声も生で聞きたかったところでした。

あとツイッターにも書いたのですが、今回客席を通る演出も相まって「開演後の入場はできません」というご案内がありました。それは潔い運営だ、遅れてはいけないなと、仕事場の締め当番を替わってもらい会場に向かったのですが、案の定の10分押しスタートで、「それだったら当番交代してもらわなくても間に合ったなー」とか「ちゃんと定刻までに来たお客さんは損だよなー」とか「事情があって押すことは仕方ないにしても、その場合の主催者の対応は一定いるんじゃないかなー」なんて考えが溢れたことも付け加えておきます。

定刻に始められない問題は今回が特別ではなく、普段の自分らが行う公演でもそうですし、主催者側・鑑賞者側、両方の問題でもありますが、みんなが気持ちよく鑑賞できるためにどういう取り組み方がベストなのかなーと考える機会となりましたな。

ともあれ皆さん、お疲れさまでした!