カムカムミニキーナ「しめんげき」(2023.02.18)

先月の、カムカムミニキーナ「しめんげき(土佐竹取/パノラマ)」がとてもとても素晴らしかったので記録用思い出し感想文。
高知初公演となったカムカムミニキーナ。というのも、通常のカムカムの公演だと出演者も多く、舞台規模も大きいため、なかなか地方公演は難しいのですが、今回は出演者は4名、舞台装置はなし、最低限の衣裳と小道具、アクティングエリアは5メートル四方の正方形で、その周りを客席が囲む「しめんげき」という枠組みにすることで、高知公演が実現しました。

パッケージはコンパクトと言いながら、劇団主宰の松村さんは「各地で上演する際に、その土地の作品を創ってレパートリーにする」とのことで、劇作にかかる熱量、そして4名の出演者が何役も務める構成から、稽古も本公演と変わらない期間が必要、さらに最小限と言ってた小道具も実際はメチャクチャ多くて、これらを要約すると「しめんげき」とは、「手軽でコンパクトなパッケージの中に、入りきれないくらいのカムカムの演劇愛を無理矢理ギュウギュウに詰め込んだ」作品となっておりました。
この流さない・手を抜かない・すべてに全力を注ぐ姿勢、素敵だなー。尊敬するなー。

肝心の作品は、約1時間の小作品2本立てです。
最初に上演したのが「土佐竹取」。
高知を題材ということで「土佐日記」と、この時代に書かれたとされる「竹取物語」を組み合わせた作品。
この作品には高知リトルプレイヤーズシアターOGのスガ・オロペサ・チヅルさんがカムカムの劇団員として出演され、リトルの関係者も沢山応援に来られた中での本番です。
松村さんの前説から緩やかに始まった舞台は、少しずつ加速をしていき、あっという間に作品世界に引き込まれていきました。マシンガンのように放たれる台詞と巧みな小道具や演出で、どんどん物語が展開されていきます。
紀貫之と奥さま(名前不詳のため、仮子と呼ぶのも可笑しい)とのやり取りの中で、高知で亡くした愛娘の思い出と、劇中劇の形で展開される竹取物語のかぐや姫が少しずつリンクしていきます。
特筆すべきは歌。スガさんが音楽を担当されているそうですが、4人のハーモニーの美しさと、スピード感溢れる物語の展開と相反するような凜とした空気感にドキドキした次第です。

15分の休憩を挟んで始まったのが2作目「パノラマ」。
こちらは三重県で「しめんげき」を上演したときに創作されたもので、江戸川乱歩がかつて暮らした三重県を舞台に書かれた小説「パノラマ島奇譚」をベースに松村さんが脚色したものです。松村さん曰く「普通に読んだら2時間はある作品をギュッと1時間にまとめた」そうで、こちらも「土佐竹取」同様、いやそれ以上のスピードで展開されます。
大学の同級生で、瓜二つの容姿だった富豪の男性が亡くなった報せを聞き、土葬されたその男性になりすまして、生き返ったということにする主人公。その主人公が夢見た芸術=文学でも絵画でも音楽でもない世界、をなりすました同級生の財力を使い、伊勢湾の小さな無人島に実現させていきます。
物語としては、理想を果たした主人公が破滅の道を辿るというものですが、劇中に彼が作り上げる理想の芸術の描写が、もう、素晴らしい。4名の俳優のエネルギーと、最小限だからこそ映える小道具や衣裳だからこそ、観客ひとりひとりの頭の中に、色とりどりの耽美な世界が浮かんだのではないでしょうか。

ちなみに今回、僕は照明と音響のお手伝いで入ったのですが、グリーンホールの舞台上舞台で、通常の客席を潰した3面を客席としたため、いわゆるフロント・シーリングの前明かりが、バックの照明として使えるという贅沢ができました。
音響照明も最小限の仕込みではあったのですが、こんなに距離を取れて、灯体数も多いバックを作れるのは嬉しかったー。

1ステ・舞台上舞台ということで、満員・札止めとなった今回でしたが、願わくば多くの方に、特に高知の演劇人に観てもらいたい作品でした。
「しめんげき」の次回公演も実現して、カムカムのお客さまが増えていき、本公演まで繋がったら最高だなー。今回のご縁がどうぞ拡がっていきますように!!