トサにウツボとカツオを食べに行く会「ながたび。」(2023.04.15)

忙しさを言い訳にせず、できる限り観た公演は感想文書くのだ。
ということで、先週蛸蔵にて演劇祭KOCHI2023のスタートを飾りました、トサにウツボとカツオを食べに行く会「ながたび。」の思い出し感想文。

中内こもるさんの書かれた作品を、名古屋を中心に活躍する佃典彦さん、天野順一朗さんというおふたりの演劇人が演出・出演するという内容で、公演地も名古屋と高知にて、ユニット名がまさに名を表す「トサにウツボとカツオを食べに行く会」とのことでした。
果たして美味しいカツオとウツボを無事食べたのかしら…。

作品タイトルの「ながたび。」は、「内見」「ガチガチ」「玉」「病院」「。」という10分のコント5本の頭文字を取ったもの。
この5本のコントが、なるほど中内さんの作品だ、コントはこういうアプローチもあるのね、演劇作品としても想像が膨らむなー、などなどバラエティ豊かなもので、それを2名の俳優の巧みな演技で堪能するという贅沢なものでした。

冒頭のあいさつで、天野さんが直腸ガンを患い、身体に器具をつけていることを言われたことが結構な衝撃で、本編が始まってもガンガン動くさまを見て、無闇にざわざわしました。あえてのカミングアウトなのかしら、その目的は装着した器具の発する音についての注釈だったのか(実際本番中は気付きませんでした)、作品のどこかに帰結するのかしらなどなど動揺したままの観劇になってしまったことはちょっと後悔。全部含めて笑い飛ばすのが正解だったんだろうなー。
もうおひとりの佃さん、すごい。テイストの違う5作品、全て違うアプローチの演技は当たり前のことであろうけど、それをどれだけナチュラルにやっているように見えることが、すごい。

作品的には「病院」が一番好きでした。
心療内科を舞台に患者と医者2名が向き合うと思いきや、そこは皮膚科で、「今見てる世界は夢かもしれない」という患者に対して「そういうのは別の病院に行ってくださいよ」としごく真っ当なことをいうお医者さんという、バカだなーって苦笑いする始まり方から、少しずつ、ホントにこれは夢の世界じゃないのか…と歪んでいく物語。
アフタートークで佃さんが言われていたのが「役の心情が変わっていくのをテキストの1行1行で表現するのが難しかった」という言葉に膝を打ちまくった私でした。
この作品、長尺で見たいなー。

中内さんが高知に戻られてから、どこでもドアができたかのように、名古屋の皆さんの作品がこうやって見られること、ありがたい限りです。
さー、4年ぶりの再開となる演劇祭KOCHI、完走目指してがんばるぞー!