青年団「冒険王」(2016.02.25)

ノトススタジオさんにて青年団公演「冒険王」を観劇してきました。
主観ではありますが、ここ数年、四国の演劇事情はとても面白く、盛り上がっているように感じてまして、その盛り上がりを作り出す両輪が、シアターねこであり、ここノトススタジオだと思ってます(蛸蔵も、もっとがんばりたい)。

青年団の公演がこういう劇場で上演できること、本当にすばらしい。
ノトススタジオの四国圏のアクセスの良さは毎回言ってますけど、もっと多くの方に伝わって、四国中からたくさんのお客さんが集い、多彩な演劇を楽しめたらなおいいなー。あとあと、ぜひぜひソワレ前に営業している美味しいうどん屋さんが劇場近くにできたらありがたや。

さて今回の「冒険王」めちゃくちゃ面白かったです。
「同時多発的会話」や「静かな演劇」と言われるオリザさんの作品ですが、その手法が全て作品に帰結するような、「間」「空気感」で自然と注目すべき出演者にフォーカスされていく、唸ってしまうようなリアルな演劇でした。

戯曲は1980年のオリザさんの体験を元にしたそうですが、感じたのは「不変」。
若者や若者をこじらせた大人が、自分を探したり、誰かや何かを待ったり、選民思想なのか自分を卑下することに酔っているのか、知らない間に群れたりそれを嫌悪したり、「俗」や「社会」に対する距離感だったりをそれぞれ持つ登場人物。
そしてそう遠くない距離で浮かぶ社会的不安や政情が見え隠れする、なんというか普段の自分たちの暮らしの距離となんら変わらない世界が舞台の上で繰り広げられていました。

舞台を観ながら、1980年のイスタンブールを観ながら、今が浮かび上がる、今を考える、自分自身を振り返るような、素晴らしい体験でした。

ノトススタジオでは、2/27(土)まで「冒険王」「新冒険王」の2作品を上演しています。まだお席に余裕があるとのことですので、ぜひ多くの方に観ていただきたいです!