からくり劇場「土管」(2017.11.09)

昨日は蛸蔵にて、からくり劇場「土管」を観てきましたよ。
例によって感想文。

高知の老舗劇団、センター90さんの解散をきっかけに旗揚げされた「からくり劇場」と「カラクリシアター」。
姉妹劇団を名乗りながら主要メンバーは基本的に変わらずで、松田さん演出が「からくり劇場」、谷山さん演出が「カラクリシアター」とのことでしたが、各団体2作品ずつ観たことで、なるほど、確かにこれは違う劇団だなと感覚でわかってきました。
違う劇団を名乗ることで、もともとのイメージに縛られず、それぞれの世界を存分に発揮しようということなんだなー。これは面白いやり方ですな。

ということで今回の作品につきまして。
会場に入って目に飛び込んでくる2本の大きな土管と、照明の色温度を変えて表現している、この世とあの世のふたつの世界。
どんな無茶な設定でも、そこで役者さんが真剣に役を生きれば、デタラメな世界がストンと収まってくる不思議。さらには物語ラストではふたつの世界の境界すら無視しちゃうのも、なんだかスカッとした次第です。

出演された皆さん、はじめて見る方もいらっしゃいましたが、みんな素晴らしかったなー。
それぞれの強烈なキャラクターはカラクリシアターの前回公演も同様でしたが、今回の方が調和が取れてるように感じました。
冒頭のネリさんの人間が壊れちゃう直前の感じの恐ろしさと愉快さよ!
また不幸を呼ぶ女として、ひとり語りをする小野純子さんは素晴らしかった!語りの勢いと間と動き。自分が引き起こした不幸の1場面を語っただけなのに、ドラマチックな情景が頭に浮かび上がりました。それができる役者の力量ったら相当なもんですな!
もうひとり、作品全体を引っ張ったのが、お母さん役の別役和美さんです。いろんな不条理や不幸に襲われながらも、それに負けないあの声の元気さ!作品の解釈によっては、もっとどんよりしたものになってもおかしくないのに、全体にカラッと明るい空気が流れたのは、別役さんのキャラクターがあってのことだったかと思います。

最後に、最近蛸蔵がいろんな方に使われるようになって、舞台の幅もどんどん広がっているように思えます。
こないだの劇団33番地や今回も、グリーンルームさんが大道具でガッチリ入ることで、蛸蔵がさらに劇的空間として魅力的な場所になっています。内部のスキルアップも大事なことですが、今回のようにプロの舞台技術の方に入ってもらえるような機会が増えていけば、さらに蛸蔵が盛り上がっていきそうですなー。
最初のたいへんな時期を超え、おそらく転換期であろう今、新しい繋がりをどんどん生んで、これから蛸蔵がさらに高知の演劇シーンを引っ張れる会場になるように、がんばるぞー!!

からくり劇場の皆さん、お疲れ様でした!
引き続き日曜まで頑張ってくださーい!!