TRY-ANGLE「ライフレッスン」(2018.06.17)

昨日は蛸蔵にてTRY-ANGLE「ライフレッスン」を見てきましたよ。例によって感想文。

18年の歴史を誇り、その間一度も歩みを止めずに活動を続けているTRY-ANGLE。
その全てを知っている訳ではないけど、近年のTRYは充実している印象で、それを引っ張っているのが洗練された舞台美術だったり、丁寧な照明だったり、劇団員全体の底上げだったりするのですが、それに加えて今回の宣伝美術!みかみんの技量がググッと上がったのか、今回が本領発揮する機会となったのか、ペタッとした印象のイラストから、物語に導く魅力的なデザインになっておりました。すごい、みかみん。

今回の演目「ライフレッスン」は女優・劇作家の高泉淳子さんが20年以上前に発表された作品で、パンフにも書かれていましたが、領木さんにとって非常に思い入れのある戯曲だそうです。いやけど全然古さを感じなかったなー。

物語は、愛犬の死をきっかけにガレージに閉じこもった少年の、頭の中でいろんな方向に転がるとりとめのない考えが、そのまま舞台上で展開されます。
生死、家族、学校、好きな人、ぐにゃっとした世界、不確かな未来。
幼くて、でも冷静に自分や周囲を見てて、核心に触れる瞬間があるかと思えば、バカみたいな夢想をしたり。

まるで11歳当時の自分が考えてたような世界が、舞台で展開される不思議さったら!
これはきっと戯曲の素晴らしさもさることながら、領木さんらしい、丁寧な、ヘンな色を付けない演出だからこそ、多くのお客さんがこの感覚を共有できるんじゃないかと思いました。

そして、もうひとつ。
今回の稽古のさなかに劇団を襲った悲しい別れについて。
劇中の台詞の断片が、何気ないフレーズが、現実の悲しみに突き刺さる瞬間が何度もありました。
客席に座って演劇を見ているのか、まだ整理できない自分の心に向き合っているのか分からないような感覚。
客席にいる自分でもこんな状態だから、舞台にいるみんな、スタッフのみんなのことを想像するだけで胸が苦しくなりました。

それでも、歩みを止めなかったみんな。作品に向き合ったみんな。
劇中の別れをきっかけに成長する少年のように、100分で終わる物語ではないけど、この作品は「変わるんじゃなく、動いていく」これからのみんなの物語なんだって思いました。

すみこに負けないくらい、演劇への愛情をエネルギーにして、今日も頑張ってな。
ほんで、今日が終わったら、ちょっとゆっくり休むんよー。