シャカ力「ギラギラ薬局」(2018.07.07)

昨日は蛸蔵にてシャカ力「ギラギラ薬局」を見てきましたよ。例によって感想文。
シャカ力という劇団は、行正さんが一昨年の「かもめ演劇祭」で演出賞を受賞するという評価を受けていますが、個人的には「明確な演出プランを持たない」劇団だと思ってます。
お話の最低限の決めごとの中で、キャリアと実力のある俳優がやりたい放題暴れ回り、演出家が極端に飛び出たところを修正するってイメージ(実際の稽古現場を拝見してないので、あくまでイメージです)で、舞台で炸裂するおっさんとおば…いや、おねーさまたちの過剰な暴れっぷりこそがシャカ力そのものじゃないかなー。

近年は行正さんが書かれた作品の発表が続いていましたが、今回は井上さんが久しぶりに書き下ろした新作でした。
自分が井上さんの戯曲を最後に見たのが2013年の「ファイト」と同年に大丸でやった「屋上の3人」(いずれも複数の作家によるコントオムニバス)だと思うので、単独の作品だといつ以来だろう?でも、開始早々に「井上さんらしいなー」って感じたことでした。
それはどの辺か上手く説明しにくいのですが、声に出すと気持ちの良い音が並んだ台詞の構成とか、無駄に長く詳しい、百科事典のような一口メモシーンとかw、明るく開けているようで実は閉じてる登場人物像などが、なんとも井上さんらしい感じかなー。

今回は107歳までギラギラ生きられる薬を巡るドタバタ模様の中に、実は登場人物のほとんどが臨床実験の被験者だったという設定で、話の筋がしっかり通っていたからこそ、序盤の違和感もちゃんと回収される作り方に感心しました。
言うまでもなく役者は粒ぞろいでしたが、今回共演募集に手を挙げた高知大学演劇研究会の中野コナン君も、あの暑っ苦しいメンバーの中でよく頑張ってましたねー。
井上さんの娘さんのモンシロチョウは可愛かったけど、どうせならあの役をはるなさんがやるくらいにコッテコテだったらどうなったのかなー。
一番笑ったのはあのたさん。ソフトボールとよさこいの恵那さんとの共演はズルイくらいの面白さでしたが、それ以上にセリフが出なかったソーシャルネット云々のくだりの「やりきった!」振る舞いと、周囲のフォローこそが、僕が見た回の最高のシーンでしたw(ごめんなさい)。

何はともあれ、放課後の教室でバカ騒ぎをしているような楽しい空気をいっしょに味わえたような時間でした。こういう大人達がいるからこそ、若い人たちも安心してバカができるのかなー。
一方でこれだけの皆さんが揃ってるからこそ、普段のシャカ力とは違う一面を期待してしまう自分がいたことは否めない。
次のシャカ力の一歩は、高知の演劇シーンにどんな影響を与えるのか、楽しみにしています。