「桂九雀で田中啓文、こともあろうに内藤裕敬。」(2018.10.21)
本日はかるぽーとにて「桂九雀で田中啓文、こともあろうに内藤裕敬。笑酔亭梅寿謎解噺~立ち切れ線香の章」を観てきましたよ。例によって感想文。
作品は2部構成で、前半は田中啓文さんの書かれた落語小説を内藤さんが戯曲化して、桂九雀さん、さっかんさん、ことえさんが出演するという演劇。後半は桂九雀さんによるお囃子の紹介(岡野鏡ちゃんの素敵な演奏!)、前日のワークショップ参加者による発表、最後に九雀さんの落語というものでした。
先に落語部分ですが、いやー、すごい。
喋り続けながら空気を確実に掴むテクニック、まくらからのすっと入ってくる感じ。九雀さんの頭の中はいったいどうなってんだろう?ふだんの落語会とは客層も雰囲気も違うだろうに、そんなのお構いなしに九雀さんの世界に染まってました。
ワークショップの発表も、これはすごい。ごくごくわずかな稽古で本番の舞台に立たせる豪快さ!
ひとつの話をリレーで読む形だったのですが、参加者の個性が良く出てて(まさかの野島先生出演には笑っちゃいました)、落語の世界の奥深さを感じました。客席に座っていた吉良笑い袋も効果的に機能してましたなー。あと、袖からさっかんさんの笑い声が響いたのも良かったw。
そして1部の演劇です。
「弟子入りしたらダイエットできる!」と聞きつけやってきた、巨漢の、小劇場あがりのふたりが、落語の体験稽古にやってきて、あーだこーだ師匠に文句をつけるという構成なのですが、師匠の落語の台詞の解釈にあれこれ演劇的なダメ出しをやり、それぞれが実演することで物語の世界がガラッと変わる面白さったら!
古典作品を斬新な演出で描くというのは演劇ではよくあるのですが、落語の世界で、その場で演出をつけていくという構造にはうなってしまいました。九雀さんの芝居の間の取り方も面白く、鏡ちゃんの演奏もさることながら劇中の表情も良かったなー。
物語後半は題材にした立ち切れ線香に沿った、師匠の若かりし頃の記憶を再現するという形で、所々で出てくる「手紙」というキーワードが非常に印象的でした。内藤さんの作品に出てくる「手紙」の、なんとも言えない感情が渦巻くイメージは、今回も見事に発揮されてました。
まさに落語と演劇の見事な融合を堪能させていただきました。
高知は演劇側、落語側それぞれが集まったような客層で、それぞれの知らなかった良い面を体感していただけたんじゃないかと思います。
この作品が地域創造の演劇ネットワーク事業に採択され、全7館で上演をされるというのは、ホントに素晴らしいことですなー。
みなさん、ツアー後半も頑張ってくださいませー!!