空晴+南河内万歳一座オールスターズ「隠れ家」(2018.12.10)
昨日は一心寺シアターさんにて空晴+南河内万歳一座オールスターズ「隠れ家」を観てきましたよ。例によって感想文。
おもしろかったー!!!
劇作にはいろんなやり方があると思うのですが、設定と構成を考えてプロットを作って落とし込むという、おそらくベーシックな作り方よりも、書いているうちに作者だったり原稿用紙を走るペンだったりに、何か訳の分からないものがが憑依して、どこに行くのか分からない展開の方が絶対にスリリングだし、リアルだと思うのです。
そんな風に思えるようになったのは、中島らもさんだったり町田康さんだったり、マイ師匠・内藤裕敬さんの影響なんだろうなー。ありがたや。
内藤さんの最近の書き方は、ひとつのモチーフ(主に社会的事象だったりちょっとしたニュースだったり)をもとに、スタートの場所と人物を決めて、そこで登場人物がどう転がって、どう生きていくのかを見守っているような、どういう終わり方になるのか、書いてる本人も分からなそうな感じで、その中にどこかノスタルジックな光景も、そしていまの世の中も浮かんじゃう、もう、なんとも、要約できない感じでして。
今回は電車の中で盗撮をしたサラリーマンが、地下鉄の線路を走って逃げたというニュースがモチーフで、取り返しのつかない過去、待ち受ける未来の不幸を過去からきた地球防衛軍が救おうという、もう概略すら説明できないw。
その中でも「鉄塔が倒れて電車が運行できない」「深く考えずについてきたらとんでもない事になっていた」なんて台詞は、あきらかに現代社会を物語っているようで、このありえないようでいて、決して遠い将来の話でもないように感じてしまう不安感は一体なんなんだろう?
特に冒頭のシーンの「先が分からないけど、こっちに行こう!」「いや、やっぱり戻ろうよ!」なんてやり取りは、本当に丁寧にいまを描かれていたように思います。
物語の大きな軸は、空晴の若手3名が担っていました。
コマから感じる焦燥感はもうなんだかこっちまで息苦しくなるし、南ちゃんの途切れた記憶と今の自分の存在の不確かさは胸が痛くなりました。
そして、ちーちゃん。初日から喉をやってしまったようですが、不安定な声と役が見事にはまっていました。
あの指輪は、そこに至った過去は、いったいなんなんだろう?劇中の説明が薄いことが、逆にいろんな想像を巡らせてしまいます。
そして今回、この役どころを空晴の3名に渡した内藤さんの真意はなんなんだろうなーなんてことも思ったり。
それぞれ客演として互いの劇団員を迎え合う2劇団ならではの呼吸の良さと、クリエイションの根っこの部分で感じるヒリヒリするような緊張感。今回内藤さんが空晴のテイストに寄せずに書いたことで、空晴メンバーの新しい一面と、そして万歳メンバーへの大きな刺激になったんじゃないかなって思います。
いやー、おもしろかった!!
大阪公演は明日で千秋楽ですが、この後の東京公演、北九州公演も頑張ってください!!