シアターTACOGURA「クリスマスキャロル」(2019.12.07)

もうひとつ思い出し感想文。シアターTACOGURA「クリスマスキャロル」ですだ。
シアタコが旗揚げからずっと続けている「こどものための12月」は今年で6回目となりました。
「ドングリと山猫」「ブレーメンの音楽隊」を各2回、そして「クリスマスキャロル」は昨年の戯曲、構成を引き継ぎながらもブラッシュアップした再演となりました。

この6年の中で大きく変化したのが劇団そのものかも知れません。
蛸蔵の小屋付き劇団として旗揚げをし、劇場が地域や社会にどう機能していくか、実験と実践を重ねて歩んでいるシアタコ。
この12月公演や防災企画、夏祭りなどはまさにそうですし、春に行っている本公演は近代の作品を上演することで、今の社会を映し出そうとしています。

作品の発表については順風満帆のように見える一方で、劇団運営についてはなかなか大変そうです。
しっかりしたビジョンを打ち出し、幅広く劇団員を募り、みんなの意見を反映しながら劇団を運営していくスタイルでしたが、自分の知る限りでは劇団運営について意見が衝突することもあったり、俳優やスタッフで主軸を担ってた劇団員のライフステージの変化による休団などで、今は多くのキャストが出る作品では客演を募っての発表になっています。

しかしこの劇団のピンチがチャンスになるから、凄いもんよねー。

昨年のクリスマスキャロルも豪華な客演でしたが、今年はさらに客演が増え、ドリームチームのような出演者が集いました。
ここに集った皆さんは「クリスマスキャロルを良い作品にする」という目標のもと、それぞれが普段とは違うフィールドで最大限のパフォーマンスを披露していました。
そして短い稽古期間、稽古に揃わない出演者(全員が揃ったのが小屋入りしてからだそうで…)という状況をしっかり受け止めて、緻密な計算のもとに演出をした藤岡さんの逆境を跳ね返すパワー、そしてなおみさんの見事な構成の戯曲。

ううむ、お見事。

昨年感じた主要な出演者が2役をやる違和感も解消され、演出的にはさらに大人向けの(照明の暗さやら、敬三さんの鎖の衣裳やら)試みもあったものの、きっとお子さまの鑑賞者は怖がりながらもしっかり楽しめたのではないかしら。

何より本公演に関わった皆さんから伝わってくる充実感。
やっているみんなの楽しさや喜びがしっかり舞台で表現され、客席の反応がさらに舞台を良くしていくという、なんとも幸せな公演だったと思います。

ひょっとしたら、この公演がシアタコが大きく変化するきっかけになるかも知れないなー。
これから先のシアタコ、要注目です。
みなさん、お疲れさまでした!