東京デスロック「カルメギ」(2014.11.22)

北九州芸術劇場さんにて、「カルメギ」を見てきました。
車に乗り合わせての観劇ツアーはよくやっていますが、北九州に車で行くのははじめてで、どんなもんかと思いきや、何の問題もなく片道6時間で無事到着。くくく、大人の遠足の範囲がまた拡がってしまった。

「カルメギ」は、昨年ソウルにて上演され、東亜演劇賞の作品賞、演出賞を受賞した作品です。脚本はソン・ギウンさん、演出は多田さん。出演者はもちろん、スタッフも含めて日本と韓国の演劇人の協働により制作された作品。しかもその舞台は1930年代の日本占領下の朝鮮、さらに原作はチェーホフの「かもめ」というアウトラインだけでもおなかいっぱい。

果たしてその実際は…面白かった!
ひとつの演劇作品として、引き込まれ、胸が震え、そしていまの社会が浮かび上がり、あなたはどうするの?って問いかけられるような至福の時間でした。

舞台美術、客席の組み方(冒頭の「どこでお芝居をするの?舞台もなにもないじゃない?」という台詞がまたデスロックらしい!)、魅力的な日韓の俳優達(特に主人公の母親役を務めたソン・ヨジンさんステキだった!)、それぞれの関係や、思い、変化する感情、どうしようもない衝突、そして歴史の中で翻弄されるしかない登場人物。
重くてどうしようもないテーマなのに、要所で笑わせ、気持ちの良い混乱に導く多田さんの演出。
2時間20分というランタイムでしたが、まったく中だるみすることなく引き込まれた、ホントに至福の時間でした。

特筆すべきは作品に対する視点のぶれなさ。
旭日旗を使った演出や、日本人への蔑称など、よもするとそれぞれの国で問題にされるかも知れない。でもここで描くのはあくまで人間の関係性で、そういった演出は時代を写す大事な要素として機能していました。だからこそ同じ作品を韓国と日本で上演することができる。これは、ものすごいことだと思うのです。演劇でなければなしえない、社会に対する投げかけだと思うのです。
今回は北九州と神奈川のみの上演ですが、この作品は、もっと多くの方に見てもらうべきだと強く思いました。
こういう取り組みに、国は、文化庁は、お金を使うべきだ!!

ああ、チェックアウトの時間だ、あわわわわ。
最後に、今回の観劇ツアーで、ホテル取れない問題にお助けいただいた於保さんはじめ、多くの皆様、本当にありがとうございました。また会場でお会いした(北九州に行ったらお会いしたいなーって思ってた方が一網打尽!)皆様の再会、とってもうれしかったです!
そして打ち上げに招いていただいたデスロックチームの皆様、ありがとうございました!またみなさんと一緒に仕事したい!どうぞ今後ともよろしくお願いします!!