細川貴司「セツアンの善人」(2020.12.4-6)

今年8月のこと。
ちょっとずつ日常を取り戻して、おまちで飲んでる時に、イキナリ地域創造プロデューサーの津村さんから電話が!
あわあわしながら電話を取り、お話を伺うと「高知出身の俳優で、まつもと市民芸術館のレジデントカンパニー、TCアルプに所属している細川君を紹介したい」というもので、そこからあれよあれよとお話が進んで、今回の企画が実現しました。

細川さんは高知出身ではありますが、演劇のキャリアは大学から(日本大学藝術学部演劇学科)なので、高知の演劇関係のつながりがほとんどない中での高知初公演。
動員的には、ご本人も「お披露目ですから少人数でも大丈夫です」なんて言ってたのに、そのうえでゆっくり見れる形で3ステージを決めたのに、ご本人の人柄を活かした営業で、最終的に100名を超える動員と、手厚い協賛を獲得しての本番となりました。

作品は一人芝居。
ランタイムは90分。
一人でこの膨大な台詞を入れるだけでも相当なものですが、原作を一人芝居用にリライトし、小道具や衣裳も自分で作り、照明音響も自分でコントロールできる規模でプランして、そして予算管理や営業などの制作用務も平行しながらのクリエイション。
俳優の仕事に専念できる環境の方が良いのは当たり前ですが、この仕事量からも演劇でメシを食っている細川さんのプライドを感じるようでした。

小屋入りしてからは続々と松本からTCアルプの劇団員の方が応援に入り、高知の演劇関係者もサポートに入り、ここでも多くの交流が生まれ、本番を迎えました。

俳優としての技量と身体のコントロール、そして落語の枕を思わせる冒頭の入り方と演じ分け、見事でした。
作品の「セツアンの善人」はブレスト作の近代の戯曲ですが「景気の悪い」今の世の中で生きるために「悪いこと」をしないといけない。善人が罰せられ、悪人が得をする世の中はおかしいのではないか?という社会の不条理は現在そのもので、そこで善行と悪行、愛や欲と義に揺れる登場人物の人間くささこそが愛すべきものだよなーと思ったことです。

高知の演劇的には、今回生まれた新しいご縁がどう拡がっていくのか、またいろいろ企てなければ!
細川さん、松本の皆さん、お手伝いいただいた高知のみんな、ありがとうございました!