南河内万歳一座「ゴミと罰」(2021.01.21)

昨日は一心寺シアターにて南河内万歳一座「ゴミと罰」を観てきましたよ。
昨年5月に上演予定だった「ラブレター」が延期となり、1年ぶりとなる本公演。
チケット発売後に東京公演・北九州公演が中止となり、逆風吹き荒れる中で内藤さんが書き上げた新作を「なんとしても観ておかねば!」という強い思いで劇場に向かいましたので、全くもって不要不急じゃございません、ええ、はい。
 
さて、その作品は前作「デタラメカニズム」にも通じる「記憶」の物語でした。
「デタラメカニズム」では、「誰にも見せたくない胸の中にしまった記憶」だったのが、今回は「捨ててしまいたい、消してしまいたい記憶」をテーマに描かれています。
10年間住んでいたボロアパートを退去する青年。「捨てられない記憶=若さ故の取り返しのつかない激情や恋の傷」が見え隠れする作り方は、初期万歳の「6畳一間」シリーズに通じるものでした。
激情を舞台で表現するには荒々しい俳優のエネルギーが必要で、お久しぶりの荒谷清水さん、そしてリリパットアーミーから客演の野田晋市さんのベテランおふたりが「これぞ万歳!」という空気を作っておられました。
もう一方のセンチメンタリズムを体現するのは客演の岸本武享さん(劇想からまわりえっちゃん)ことえさんという組み合わせで「償わぬままにして来た過ちばかりが溜まっていく」「ゴミが多けりゃ、その分幸せもたくさんある?」という台詞が胸に響きます。
 
個人的には「内藤さんは今の世の中をどう描くのだろう?」と観ていましたが、物語冒頭のインフラが崩れていく描写や、エンディングのさまざまな出来事や住民の声に右往左往する町内会長はきっとそういうことなのねーと思った次第です。
 
膨大な量の投げかけが舞台からされ、それをひいひい追っているうちにどこか自分の過去も重ねていくような体験。
拾えなかったボールはじっくり上演台本を読んで反芻するようにします。
みなさん、残りのステージもファイトー!!