努力クラブ「救うか殺すかしてくれ」(2021.01.22)
昨日は神戸アートビレッジセンターにて努力クラブ「救うか殺すかしてくれ」を観てきましたよ。
昨年こちらKAVCで上演しました、蛸の階「行き止まりの遁走曲」に出演された、佐々木峻一くんの劇団旗揚げ10周年となる作品です。
物語は、さえない中年男性(=西さん)が救いを求めて七転八倒するさまをコミカルに描くというものでした。
友達も彼女も無く、ただ働いてオナニーして寝るだけのつまらない人生を早く終わらせたいとうそぶく一方で、夢に出て来た女性をきっかけに、いろんな出会いや挫折を繰り返し「救われたい!愛されたい!」とわめき散らす西さん。
西さん自身もそうですし、彼に関わる人物全てが、もう…なんとも、愛らしい…!
世の中はこんなにも愛に溢れていて、いろんな愛の形があるものなのかー。
おそらく、本当の絶望って、社会との遮断だと思うのです。
そういう意味では、西さんの無様で迷惑な生きざまと、彼に関わってなにかしら傷を受けたり、彼に傷を与えたりする周囲の人々の世界は、なんとも人間くさくて暖かいもので、この作品は、タイトルやあらすじとは真逆の「人間賛歌」を描いたんじゃないかなーと感じた次第です。
佐々木君といっしょに劇団を立ち上げて、本作の作演出をされた合田団地さんはあいさつの中で、年齢を重ねていく焦燥感や息苦しさから逃げたいという思いで、本作を作ったと書かれていました。
うんうん。
実直で、誠実で、青臭い。
そうやって積み重ねてきた表現者の歩みが、苦しさに潰されそうだった記憶が、いつか振り返った時に宝物になりますように。