劇団シアターホリック「幸福論」(2021.08.01)
先日は蛸蔵にて劇団シアターホリック「幸福論」を観てきましたよ。
シアホリの作品は2019年の「プールのある家」以来2年ぶり。
コロナ禍での空白がどう作品に影響を与えるのかしらんと観劇に臨みましたが、いやー、素晴らしかった。
劇作家としての松島さんの新境地を開いたんじゃないかしら。
舞台は高知市から車で40分ほど走った所にある仁淀川沿いのとある家。
両親が亡くなった後、家を引き継いで高校生の娘と暮らす長女と、高知市内でそれぞれ暮らす次女と三女。
娘の進路希望提出を前に、娘との向き合い方に悩む長女。
結婚して、幸せだったはずなのに、何か鬱屈した気分の次女。
職場の後輩とのやり取りから大事な何かを見つける三女。
極端な境遇でもないし、そこまで劇的なことも起こらない。
どこにでもありそうな三姉妹の関係を中心に、高知の暮らしの空気感や、コロナ禍の世の中の空気感を丁寧に描きながら進む物語。
そうなのよ、高知市外に住んでると、高校から通学大変なのよ。部活の送り迎えも大変なのよ。
そうなのよ、大学生はバイト先の店長に惚れちゃいがちなのよ。
そうなのよ、案外イオンでバッタリ会っちゃうのよ。
そうなのよ、福祉の仕事は安パイじゃないのよ、大変な仕事なのよ。
そうなのよ、大切な想いを伝えるのは怖いのよ、何かしらの自分の殻を破らないといけないのよ。
そうなのよ、夢に向き合うことは簡単じゃないのよ、「何者にもなれなかったらどうしよう」って不安なのよ。
「リアリティは細部に宿る」を地でいく丁寧な戯曲と、登場人物の丁寧な関係性の描き方。
これまでのシアホリの持ち味だった、テンポの良さと飛び道具を抑えて、俳優の良さを引き出すような演出。それを受けて、存分に実力を発揮する俳優陣。
皆さん素晴らしかったですが、特に花ちゃんと桃子さんの公園のシーンは、吉田観劇史上最大のドキドキシーンでした。
この素晴らしい作品を持っての4都市ツアー(名古屋、松山、高知、東京)、残念ながら名古屋公演は中止となりましたが、残りの東京公演、「シアホリここにあり!」と頑張っていただきたい!
皆さん、ありがとうございました!!