「オレたちの夏の夜の夢」(2021.10.13)
FESTA松本、滞在中4作品を観劇!
まずは昨晩観劇した「オレたちの夏の夜の夢」速報感想!
12月に蛸蔵で上演する「わが町」でお世話になるTCアルプの細川さんが初演出を務めた作品!
会場に入ると、何もセットが無いどころか、袖幕も文字幕も大黒もない、袖に照明機材が無造作に置かれた、いわゆる素舞台の状態。
ぶっきらぼうに開演ブザーがなり、出てきたのは腰袋を下げた黒ずくめの服装のいわゆる「舞台屋」の6人。
話によると、大雨でトランポと俳優の到着が遅れ、先発隊だった舞台スタッフだけで「夏の夜の夢」を上演するというスタート。
物語の中の「舞台を上演する」人をさらに外側から舞台屋が演じるという入れ子構造の展開で、無理矢理感溢れるスタートが、実はお客さんへの物語のアプローチの丁寧さにつながり、さらに少しずつ作品世界に没入していく流れは見事でした。
6人の出演者だけで「夏の夜の夢」をやり切るにはどうするか、綿密な脚本の構成に唸りながら、それを見事に立体的に表現するTCアルプの俳優さんの力に、度肝を抜かれましたよ。
ガラガラの素舞台は作業明かりのまま物語が展開していくかと思いきや、上演中にサスを降ろして照明を仕込んだり、俳優がロスコマシンを引っ張ってきてスモークを焚いたり、いつの間にか見事な舞台空間として機能し、照明用のハイスタンドや台車を使った舞台装置など、「舞台を作るスタッフ」という設定だからこそのチープさに笑いながらも、見事な効果を得る演出はアルプというカンパニーの底力やスタッフとのコミュニケーションができているからだろうなー。
力のある俳優がいて、お客さまの想像をくすぐる演出があれば、舞台はどんな世界も表現できるんやなー。
知ってはいたけど、見事に見せつけられました。
恐るべし、細川さん。恐るべし、TCアルプ!