劇団33番地「Queens(メアリー・ステュアート)」(2022.05.13)

先週末蛸蔵で上演された、劇団33番地「Queens(メアリー・ステュアート)」。
本番が被っていたためゲネを見学させていただきました。頑張って感想文リハビリ。

劇団33番地5年ぶりの本公演となる今作は「真面目で自由な朗読劇」とチラシに謳っておりまして。え、ミュージカルちゃいますの?
そしてこれまではチャーリーさんの書くオリジナルの戯曲だったのが今回はじめて(ですよね?)の既成台本。
さらに物語は1500年代に実在した2人の女王を描くというもの。
前情報だけでいろんな「??」が浮かぶ中の観劇となりましたが、パンフレットに書かれたチャーリーさんの挨拶や、時代背景の丁寧な解説を頼りに臨みました。

物語の導入部分はチャーリーさんの挨拶から、さやかさんが進行係(演出兼プロデューサー役)となって、ふたりの俳優に朗読劇の出演を依頼するという始まり方。さらには作品の緊張感を保つために事前稽古なし、配役も当日行うという条件のもと二人の俳優(博田さん、吉良さん)を招き入れる劇中劇の形ではじまります。

二人の俳優はそれぞれの舞台上で、最低限の動きでテキストを読みます。
ソースフォーで切り取られた光と影の効果を保つため、およそ30cm四方に区切られた立ち位置の中で、文字通り立ちっぱなし、出ずっぱり、一瞬の弛緩も許されないような過酷な状況でテキストに向き合います。

主な配役は吉良さんがスコットランド女王メアリー・ステュアートとエリザベスの侍女・ナニーを。博田さんがイングランド女王エリザベスとメアリーの乳母・ケネディーを読む形。
王位継承権を巡って幽閉の後に処刑されるメアリーと、死刑執行の判断を下すエリザベス。
宗教と政治が密接な関係の時代描写や、いつの世にもあるのであろう、人の残忍な一面の描き方にお腹が痛くなりながらも、エリザベスの議会での演説のシーンからグッと登場人物のフォーカスがクリアになった印象でした。

それぞれが信じて実践する正義と、相反するものへの向き合い方。そして一人の女性としての生き方。
パンフのあらすじ最後に書かれた「愛、欲、嫉妬、思惑、宗教、国民、権力、自由、社会、暴力、処刑、レイプ、束縛、血、母親、命」という言葉がそのままこの作品を表していました。

不穏な空気の中で全く違うスタイルのダンスを披露する坂井さんとチャーリーさん、そして何役もこなしながら物語を進行するさやかさん。朗読劇と言いながらしっかり歌とダンスも作られていたのはさすがですし、歌は戯曲に書かれた台詞から曲を作られたそうで、さすがちゃんとちゃんとのミュージカル劇団。
そんな舞台構成もさることながら、俳優の鍛錬こそが33番地の強さだよなと思った次第です(特に若い演劇人に見ていただきたい)。

久しぶりの公演となった今回、さらに新しい扉が開いたように思えましたし、次回公演はまた早いタイミングで実現していただけたら良いなー。
みなさま、ありがとうございました!