演劇ユニットワラビー「劇場版アンモナイトチョップ 〜コント師は演劇祭の夢を見るか?〜」(2022.07.02)
高知大のひがちゃんこと、比嘉アルデバラン(イカス芸名)が2021年に仲間とともに立ち上げた、演劇ユニットワラビー。
高知大学演劇研究会とは別に、既存の枠に囚われず、そして演研卒業後もやりたいメンバーで活動を続けようという、意欲的なヤングによるユニットです。
旗揚げ公演「今日、スケープゴートに問う。」は、コロナの影響をもろに受け、延期の果てに無観客配信という逆風のスタートでしたが、2作目の本公演は、満員のお客さまを迎えての上演となりました。よかったよかった。
作品の感想の前に、この「公演を打つ」ってのが、つくづく大変なんです。
上演を重ねている劇団だったらノウハウも蓄積されて、スケジュール感も、舞台の創り方も、かかる費用も、どんな仕事があるのかも予想できるのですが、一番最初にこれをやるってのは、すんごい大変なのです。
おそらく予想外のいろんなアレコレに見舞われたであろうけど、それらを乗り越えて、見事やりきった皆さんに拍手!
さて作品につきまして。
旗揚げ公演は、就活中の学生が自分のやりたいことにどう向き合うかという、現役大学生ならではの等身大のテーマでしたが、2作目の今回は、高校生時代にコント(漫才?)ユニットを組んで関西で活動をした後、高知大では演劇研究会に入り、高知演劇ネットワーク演会の企画に大人の演劇人に混じって参加しているひがちゃん自身をそのまま詰め込んだような、コントと演劇の創作の違いを軸としながらも、「社会人をしながら演劇をすること」そして「続けること、辞めること」というテーマが流れる作品となりました。
劇中、創作の正解が分からないと悩む主人公に、うどん屋台の店主が言う「人生と同じもんよ、正解はそれぞれで、ひとつじゃないんじゃないかな?」って台詞が響いたなー。
まさに「どんな人生を歩むか」いろんな選択の真っ只中にいる皆さんの心を覗いたような瞬間でした。
舞台は転換をせずに、昼休みの会社の屋上(?)、うどん屋台、自宅と、すっと場面が頭に入る見せ方も分かりやすかったですし、夢の世界のはっちゃけ方、特に全身タイツのおふたりの異様なテンションは良かったなー。ありえない世界を全力でやることも演劇の魅力ですよね。
劇作もそうですし、演出も若さが光る作品でした。
あと、劇中の会話の中にボケる要素があったら、絶対ツッコミの台詞を入れてしまうところがコントに囚われてる劇作家のリアルを感じた次第ですw。
これから劇団運営はじめ、活動を重ねていくことで、どう進化していくか。
劇団員の皆さんもそうですし、客演で参加されたヤングの皆さんの今後も注目していきたいと思います。
皆さん、お疲れさまでした!