シスタービープ「大橋、山下くんを追う。」(2022.12.01-04)
高知に戻って5年。さまざまな公演に参加していたオカザキ君が満を持して立ち上げ、そこに新世代ホープ・吉川君が合流した、注目のパフォーマンスユニット「シスタービープ」。
旗揚げ公演「大橋、山下くんを追う。」のスタッフで入りました。
ゲネを見ての感想文でございます。
僕から見たオカザキ君はひと言で表すと、異才。
言葉のチョイスもそうですし、活動のひとつひとつが「ん?どういうことだ?」と簡単に腑に落とさせない、けどワクワクしちゃう魅力を持った演劇人です。
そんなオカザキ君、せっかくの才能を100%発揮したらいいのになーと「自分で劇団立ち上げたりしないの?」という問いには「いやー…今はまだ…」とお茶を濁していたのですが、この度、ついに自分でユニットを立ち上げました。やったぜ。
旗揚げ公演に選んだ会場は、盟友おやまさんこと、ミュージシャンの山崎さんが働いているバー・サルヴァドール。実際のバーをそのまま舞台にして、お客さまも各回ギュッと限定しての上演となりました。
この空間が良かった!
舞台と客席という境のない、お客さんも事件の当事者のような緊張感。
このバーにいきなり飛び込んで来た青年は、いったい何を探しているんだ?店員のお姉さんも負けていない、ドキドキする会話の応酬。
便宜上、会話と書きましたが、これがオカザキ君の脳内で展開されるような言葉の群(通称オカザキ節)で、通常の演劇で使う口語体とは違う、文語体のようなやりとり。
文章として読んでいって面白いやり取りを、俳優の身体を通して立体化していくのは、出演の花ちゃん、吉川くんも相当に大変だったと思いますが、俳優が自分の言葉として放たれた瞬間の台詞の素晴らしさ。ふたりとも素敵でした。
とはいえそう簡単に全てを分からせないような、必死についていこうとする観客の脳の処理速度を置いていくような、オカザキ君の思考スピードで書かれた戯曲。
山下くんとは、いったいなんなんだ?果たして何を暗喩している存在なんだ?
物語終盤の「新しい世界は知らない世界。その分からなさを意味不明と切り捨てるのではなく、受け入れて身を置く〜」という台詞は、まるでこの空間にいる皆に向けて言われてるようでした。
いやー、脳が疲れたw。
けどとっても面白い劇体験でした。
きっと本番は、お客さまのエネルギーが加わって、さらに凄いことになっていたんだろうなー。
ビルの外、寒空の下で受付しながら、本番も体験したかったなーとつくづく思える作品でした。
シスタービープ、これからの活動めっちゃ楽しみにしています!