KOCHI中高生ミュージカル部SKY「0ページの夏」(2023.01.06)
昨日は美術館ホールにて、KOCHI中高生ミュージカル部SKY「0ページの夏」を観てきました。
中高生ミュージカル部は文化庁の地域文化倶楽部創設支援事業という助成を受け、学校や学年の垣根を越えたクラブ活動としてミュージカルを創作・発表するというものです。
この助成事業、学校内で完結しがちな部活動の形を変えて、地域で活動する表現者とリンクする素敵な取り組みで、恐らくメインの目的であろう先生の負担を減らすこともそうですし、なによりどこかしら線が引かれていた、教育と民間、教育と文化行政が良い形で繋がっていく機会になればと切に願います(文化行政サイドとして、もっと学校と仲良くしたい)。
さて作品の「0ページの夏」。
高校3年生の人公・涼乃が進路について悩むなかで「好きなことを一生の仕事として生きてきた」牧野富太郎の心に触れるという物語です。
「みんな普通に進学したり、就職したり。普通ってなんだろう」
「好きなことをして生きていくなんて…」
高校3年生の時点で、そんなに好きなことに出会えている幸せったらないはずなのに、周囲と違う自分の気持ちを通せるのか、現実を見てないと笑われるんじゃないかとためらう涼乃。
そんな彼女を励ます友人や、少年として現れる牧野との会話の中で、少しずつ前を向いていきます。
観劇中、自分自身を省みて「ずっと好きなことをして生きてきちゃったなー」と恐縮したり、この企画を立ち上げた「好きなことを一生の仕事として生きている」代表のw田村さんの顔が浮かんだり。
あと、経験を重ねていったら「普通」の大切さも見えてくるのかも知れないけど、彼女たちのリアルはまさにそうだと思います。
中高生という大切な時間の中で、この物語が関わった皆さんのこれからに向けて、少しでも良い道しるべになったらいいな。
大きな樹とベンチというシンプルな舞台装置が、照明によりいろんな表情を生み出す舞台と、大人が出ないという制約を上手く活かしたシーンの作り方もさすがでした。
演出の濱田さんから稽古日数が少ないこと聞いていたのですが、きっと個別に練習したんだろうな、歌とダンスもしっかり頑張った皆さんに拍手を送ります。
終了後の振り返りでも少しお話ししましたが、この企画が今後とも続いていきますように。
そして大人になっても、どんな形でも舞台に関わってもらえますように。
みなさん、ありがとうございました!