「高知GERO活動プロジェクト」(2016.01.31)
伊藤キムさんとは、かるぽーとの開館した2002年にダンスWSと発表ではじめてごいっしょさせていただき(照明で参加しました)、とても刺激的な体験をさせてもらいました。その年に世田谷パブリックシアターで見た伊藤キム+輝く未来の「激しい庭」という作品で度肝を抜かれたのも強く印象に残っています。
そして翌2003年にgraffitiという現代アートのギャラリーに集う若者主体で企画した不思議なアートイベント「future kiss」(懐かしいなぁ)の一環で、当時劇場を飛び出した活動を精力的にしていたキムさんの「階段主義」という作品にも関わらせていただいたのですが、この「階段主義」が、自分がかるぽーとという施設で行ってきた文化事業では会心の、そして制作者として次のステップに進めるきっかけとなった、非常に思い入れのある事業なのです。
当時文化政策に対する学びなど皆無の状態で「文化事業なんてこんな感じでやってたらいいんでしょ」と、これまでの経験則だけで事業をそつなくこなしているつもりだった大馬鹿野郎の自分が、「固定概念を覆す楽しみ」「地域の表現者と作品を創り上げる喜び」「アーティストのクリエイションを目の当たりにするうれしさ」を一気に体験できた幸せな時間。
無機質で圧迫感を感じる施設の象徴のような場所が、表現者の力で劇的な空間に変わった素晴らしい作品だったのです。
と、勝手に恩人のように思っていたキムさんが、近年はちょっと表現の一線から少し引いていたような印象だったキムさんが、10年ぶりにカンパニーを立ち上げ、最前線に乗り込んでくるタイミングで、また高知でご一緒できるこのうれしさよ、幸せよ。
どうか、多くの方に作品を見ていただきたいです。
1月31日(日)14:00より、かるぽーと小ホールにて、入場むりょおお!!
見に来る人は「来るよ」と教えてくれたら、はっぴねすうう!!
さて、高知GERO活動プロジェクトの振り返りを。
約1週間の滞在制作で、カンパニーメンバー3名、地元から4名の表現者が参加されたのですが、残念ながら前半のワークショップは見ることが出来ず、ちょうど作品の構成ができあがる辺りからお手伝いさせていただきました。
きっと制作の過程を見れていたらまた違う感想になると思うのですが、ほぼお客さん目線の感想です。
自分がダンス公演を観る際の肝と思っているのが「感情の爆発」と「肉体の限界」なのですが、今回の発表にはその二つの要素はほぼ含まれていないように思いました。
自分の安全圏を越えてくる他者の距離、コミュニケーションの基本となる言葉や会話のすれ違い、意味を持っていた言葉が断片化していき、音になっていく流れ。
作品全編を通じて感じたのは「繋がることができない諦め」とか「孤独」だったりしたのかなーと思った一方で、そんな悲しさの中にも、前を向いて進んでいくしかない決意のようなものも感じた次第です。
不思議で、笑えて、切なくて、凛とした作品でした。
あーおもしろかった。
キムさんが新たに表現しようと立ち上げた「GERO」というカンパニーで、はっきりした正解がないままいろんな形でのトライアンドエラーを重ねながら地域の表現者と作っていく、最初の土地に高知がなったことは本当に光栄に思いますし、このワークショップに参加いただいた皆さんが、それぞれに何かを刻んで次の表現や生活に繋がっていくことも嬉しい限りです。
浜田あゆみさんのエピソードは嬉しかったなー。そして山本理沙さんのこれからの活動の何か大きな力にもなれるかもしれないことは、この仕事の一番の幸せですな。
しかし、金曜夜からの合流で、金土日と飲んだお酒の量ったら。
酒の席が劇的空間に何度もなった、某メンバーさんのひどい話ったら。
ますますGEROが大好きになってしまいましたよー。
写真は滅多にしない(恥ずかしいので)2ショット写真をお願いして、乙女のようにはしゃいだわたくし。