空晴「の、つづくとこ」(2023.09.29)
昨日はインディペンデントシアター2ndにて、空晴「の、つづくとこ」を観劇してきましたよ。
前作「ここにあるはずの、」からの繋がりのある世界で「辞めることを辞めた」喫茶店だった跡地が舞台となっています。
その街に暮らす、それぞれに事情を持った人物たち。
冒頭の関係性の謎さは過去イチの「どうゆうことや?」でしたが、その関係性が分かってからのハラハラ感と、どう物語が着地するのかというドキドキ感。
べっちさんの紡ぐ物語の繊細さと、それを体現する劇団員そしてゲストの皆さんスタッフの皆さんの力量こそが空晴だなーと思った事です。
…が、そんな愛すべき劇団にも関わらず、劇団運営的には必死に奮闘を続けている状況で、これは前作同様、作中描かれる世界と劇団だったりべっちさんを初めとする皆さんのリアルが重なり合う作り方にも胸が熱くなります。
続けることの大切さと困難さ。そして続けていくことによる変化。
劇団には無くてはならない存在だった、ちーやんこと古谷ちささんが今回を持って退団となることについても、劇団的には大きなダメージではあるけれど、それを受け入れて大事に送り出すんだろうな。そしてきっとこれから先、ずーっと続いて行った先に、ちーやんとみんなが新しい形で繋がってるだろう、まるで空晴の物語のような未来が浮かんだことです。
今回の物語は若年性アルツハイマーという、意外な、でもきっと多くの方が我がことに感じるであろうテーマで、当人と、周囲の人たちとの想いの重なり方や、重ならないもどかしさが描かれていました。
世の中、白と黒だけじゃない。右か左かだけじゃない。
上滝さんの演技、思い出すだけで涙が浮かんでくる。
ちょっとずつ出来ていたことが出来なくなる、分かっていたことが分からなくなる。
自分自身や、家族や、大事な人。
あの時の不義理やどうしようもなかった別離。
そんな中で、みんなが忘れていたような、大切な思い出を誰よりも大事にしていたシーンは、自分自身が何度も見る、我が子が小さな頃の夢のようで、物語ラストの上滝さんがうえだひろしさんを見送るシーンも、そんな夢を見て号泣していた朝のような、あったかい涙がポロポロ出たことでした。
良い作品、ありがとうございました。