「りすん」(2023.10.01)

昨日は高知県民文化ホールにて「りすん」を観てきました。
芥川賞作家・諏訪哲史さんが書かれた「小説の枠組みに挑む」作品を天野天街さんが演出するという本作。期待度マックスで臨みました。

オレンジホールの舞台上舞台、舞台セットは病室のベッドで、三方を客席で囲むお客さんの視点も大事な要素の作品。
冒頭からト書きが音声で読み上げられ、そのキッカケに沿って進行する舞台。台詞を反復して重ねる異様なまでの音響キュー。
演劇のお約束を排除したり、違う見せ方にする天野さんの演出と、言葉の美しさが際立つ諏訪さんのテキスト。

冒頭のト書きで「骨髄癌」と断言される入院中の妹と、彼女を必死に救おうとする血の繋がっていない兄。
妹の死に向けて進行するこの物語の枠からなんとか抜けだそうともがく二人に、演劇でしか感じられないリアリティを突きつけられて、文字通り心を揺さぶられました。

物語ラストの俯瞰した視点と、そこから解放された兄妹の姿に、よく分からない涙が止まりませんでした。
演劇、すごいや。

みなさん、素晴らしい作品をありがとうございました。
今回生まれたご縁が、これからも育っていきますように。

写真は今回の高知公演を実現してくれた、大好きな仲間ふたりと天野さん。
本当にありがとうございました!!