南河内万歳一座「まさか様のお告げ」(2023.10.09)

昨日は大阪・扇町に作られた噂の新劇場・扇町ミュージアムキューブ杮落とし公演、南河内万歳一座「まさか様のお告げ」を観てきましたよ。
かつての大阪小劇場の聖地であったOMS(扇町ミュージアムスクエア)の名称を引き継いだような、新しい劇場は扇町の国際総合病院の敷地内に建てられ「10個の大小さまざまなサイズのCUBEからなるシアターコンプレックス。3つの劇場と、7つの多目的スペースに、多様な芸術が集積する。」というコンセプトで、運営はシアターワークショップさん。ちょうど小劇場の方は劇場空間を使った展示が行われるなどいろんな使い方が提案されており、ここが大阪の新しい文化発信拠点としてどのような事業展開を行っていくのか、要注目です。

そんな注目の劇場の杮落としという大役を担った我らが南河内万歳一座。思えばOMSの1985年の杮落とし公演も、2003年の最終公演も万歳やったんですよ。43年という歴史もさることながら、今でも第一線で走り続けているからこその今回の杮落とし。万歳、凄いね。
さー、期待の新作。万歳の公演はほぼ皆勤賞だった自分ですが、外せない仕事や入院が重なり、今回1年半ぶりの観劇となりました。

劇場の高いタッパに映える万歳緞帳が開いたら、病院のベッドに座って不思議な会話をする不思議な一団が。
どうもその一団はいろんな問題を先送りにしてきてしまった60歳前後の人たちと、いろんな問題を押しつけられる20代の人たちと、その間にいる「ゆとり世代」と言われた人たちで構成されているようです。
そして知らないうちに世の中は、彼らを残して誰もいなくなっているというドキドキする展開。
やがてその病室は貨物列車になり、大海原に残された筏になり、ビルの地下にあるカラオケ屋さんとなりながら、なんだか最近聞いたことのあるニュースを織り交ぜながら物語が進行していきます。

当時はみんな知っていた、1999年7月ノストラダムスの大予言。どうせ当たらないはずなんて言いながらも、どこかで「終わってしまうかもしれない」って諦念も感じたりしていたような世の中の荒れ方だったなー。
当時から少子化だったりも問題になりながら、結局先送りになってきたいろんなツケが、今の世の中に噴出しているのを「これでもか」と見せつけられたような感覚です。

自分がこれまで観てきた万歳の公演の中で、一番シンプルだった舞台美術と、ほぼ出ずっぱりの出演の皆さん。
会話とモノローグの間を行き来する、内藤さんが書かれた言葉達がヒリヒリと浮かぶ作品でした。