立ツ鳥会議「トレマ」(2023.11.10)

インディペンデントシアター1stにて、立ツ鳥会議「トレマ」を観てきましたよ。
立ツ鳥会議さんのお名前は存じて無かったのですが、今回出演された努力クラブの佐々木くんから本作品のことを伺い(飲みの席だったのでお話の内容は霧の中だったのですが)「これは観なければ!」と早々にスケジュールを確保した自分、ナイス判断。
その後、我らが七井悠さん(劇団飛び道具)や、高知でもバツグンの存在感を発揮したぬまたぬまこさんも出演されると知り、期待を膨らませての観劇となりました。

で、感想。
面白かった。
しみじみ、いろんな愛が滲み出る作品でした。

冒頭、佐々木君が「ポケモンで遊んでいるうちに、いつの間にか大人になってしまった」的な台詞を言われてたのが胸に残りました。
作・演出の植松さんが、まさにその当事者の世代だからなのかしら。
否応なく大人の社会に組み込まれていく違和感や、結婚や出産に対する戸惑いが非常にリアルで、台詞の細部まで植松さんの誠実さを感じた次第です。

物語は、地元を離れ、東京で働く若者が20年振りに再会した友だちとの違和感を基軸に進みます。
その違和感は、上に書いた「大人の社会に組み込まれた側」が感じるもので、その再会を通じて、登場人物それぞれの社会との立ち位置が浮かび上がる構造でした(もうひとつのパートの、ふたりで新生活を始めるための賃貸物件を吟味する恋人達も秀逸でした)。

この物語に出てくる人たちは吹けば飛ぶような存在ながらも、必死に社会で生きている。
おそらくはどの登場人物にもいろんな選択の末、今の状況があるんだろうな。
そしてその後ろには、選ばなかった道に対するいろんな想いが渦巻いてるんだろうな。
そうやって色んなものを引きずりながら、歳を取っていくんだろうな。

しみじみ、良い作品でした。
皆さん、ありがとうございました。