蛸蔵ラボvol.2(2016.03.26-27)
昨日は打ち上げ後、ぽかぽか温泉と街へ繰り出した万歳メンバーを我が家で迎え、がっちり宅飲みのはずが…。待ってるうちに電池が切れてしまい、うちでも楽しく飲むメンバーを尻目にグーグー寝てたようです。
これが老いというものなのか…やるせない不完全燃焼感…。
飲みの不完全燃焼はさておき、公演としては無事に終了しました蛸蔵ラボ2の振り返りを。
「スキルアップと交流の場」というテーマで始まった蛸蔵ラボですが、この言葉通り、多くの方々との繋がりが生まれ、育っているなーと実感でき、嬉しい限りです。若い方々といっしょに仕込みや稽古をすることで、何かを伝える事もできたかな。また逆に作品制作の面で「こういうアプローチもあるのかー」と自分が勉強になることも沢山あったり。本当によい機会になっていますな。えへへ。
ただ本来なら、地域の表現者の育成を目的として行うには、一定文化行政の力も借りながら行えたら、もっとよいことも出来るかも知れないけどなー。という自分の仕事の現状を顧みて忸怩たる思いもなきにしもあらず。
ただ行政におんぶに抱っこで指をくわえてるだけでなく、「自分たちでできることをやろう!」という演会の姿勢は本当に嬉しいし、自分もいっしょに頑張りたいと思います。
さ、各公演の感想をずらっと。
■べいぶ「連弾」
女子高生2人と先生という3人の関係性の変化を、テンポよいシアホリ風演出で表現してました。作品としては、書ききっていない部分を想像しながら見ていたのですが、合唱コンクールの失敗は、指揮を務めた品田さんが意図的にやったように見えて、それだと後半の繋がりがおかしいか。みたいな箇所がちょこっとありましたな。あと3人の持つ過去のトラウマを表現したなら、その帰結はもうちょっと丁寧に描かれてもよかったかな?
とはいえ若いみんなの情熱たっぷりな(あ、そうだそうだ、今回のラボ2で、べいぶさんと高知大演劇研究会さんは音響照明のオペレートもすべて自分たちで頑張っておりました)、スタッフワークも含めてみんなの情熱が伝わった作品でした。
■演研パッチワーク「かじつ」
工科大、県立大に負けじと、高知大も情熱いっぱいの作品です。
しっかりコメディーとして書ききって、しっかりバカバカしいこともやりきり、どっかんどっかん笑いもとっていましたな。個人的には川田さんの飛び道具っぷりがつぼでした。
大学内での発表じゃなく、こうやって劇場に飛び込んでしっかりやりきったことに拍手を贈ります。こんどの演劇祭の参加も楽しみだ。
■ほしがり四姉妹「ゆったりサイズはありますか?」
「あらし」の女教師4人が、高知と神戸に別れながらもそれに合わせた脚本を書き、地理的な障害を乗り越えてできた作品は、紹介文章にもあった「キラキラした女性たちのあんまりキラキラしてない物語」をキラッキラに表現していました。
4者4様の立場や生き方の女性。ファンタジー感溢れるお話だけど、それぞれの女性の設定(かかえる問題と言いましょうか)がリアルでしたな。タニーを追い込む太ったおばさまがたのデフォルメの仕方がひどくてひどくて笑えました(ひっそり真似をして遊んでました)。
エンディング手前のぐちゃぐちゃドタバタ場面は、もうちょっと交通整理をした方がさらにグチャグチャ感をお客さんに伝えられたかなー。
■演劇unit ユニット・バス「あなたが生まれた日」
初日のトリはユニットバスさん。劇団の枠組みを超えた20代の高知の演劇人で組まれたユニットです。昨年の旗揚げ公演からがらっと変わり、このラボをまさに実験場としている姿勢、素晴らしいですな。
お話は、手前のコメディー3作品とは打って変わったシリアスな内容で、急な緊張を強いられた客席の空気感もよかったです。
バラバラの登場人物とバラバラのシーン。そんな中で浮かぶ、生み出したもの、捨てたもの、捨てられたものたち。
一番印象に残ったのは、前田澄子さんが演じるお母さんに捨てられた女の子でした。すみこはいつでも持ってるキャラを活かした役どころが多いけど、今回は役者として新しい1面が見えましたな。
■カラクリシアター「ピカレスクホテル-ここだけの話-」
高知の老舗劇団、センター90さんで長らく活動された皆さんによるユニット。
いやー、見事でした。これぞストレートプレイ!というお手本のような丁寧な作り方。谷山さん別役さんの巧さ。川島さんのキャラクター!エンディングの泣ける場面では、照明オペをしてたすみこさんは、リハでも本番でも文字通り号泣しながらオペをしてました(笑)。
ベテランのお三方なのに、仕込みから講習、バラシに至るまで、しっかりご参加いただいてたその誠実な姿勢が、作品にも繋がるんだなーと思った次第です。またご一緒させてください!
■ネリ「お玉金輪際」
「歌小屋の二階」からえいやっと飛び出してきてくれたネリさん。
お玉という女性の独白というスタイルの一人芝居。夜道の神社というロケーション。作品のイメージと蛸蔵の空気感がとてもマッチしてました。
いろいろ勝手が違う中だったと思いますが、いっしょに作品を作れたことがまた次にも繋がるといいですねー。
■ファッキンガールズユニット アレーズ「MONDAI GIRL」
いやあ。ねぇ。
役者としてのポテンシャルが高いふたりが、手綱を握る人がいない中、好き勝手に暴走したらこんなになりますよ、というのを見せつけましたな。無闇な生き物のエネルギー。生き物万歳。
なぐられて吹っ飛ぶはるなさん、好き。
■ 南河内番外一ザ・ヤング「ひともと」
昨年1月に大阪で行われた大大阪舞台博覧会という催しより結成されたヤング。初作品は「父帰る」でした。
そして2作目となる今回は、演出の鈴村さんが戯曲も書き、満を持しての蛸蔵初見参!
一番に感じたのは舞台に立つみんなが放つ肉体のエネルギーの違いです。オープニング、箱馬で煙突を作る場面の圧倒的な熱量。ぐわっと圧力を感じた次第です。
お話は、1作目の「父帰る」と同様の、「家族・父親不在」をテーマにしたものですが、具体的な設定はほぼ無く、互いが交わす台詞のやりとりもまた説明的な台詞はは皆無という抽象的なものです。それでも「父親はろくでもないやつなんやなぁ。けど負い目も感じてるんやなぁ」「おかんはいっぱい苦労してるんやなぁ」「お姉ちゃんはいろいろ気を遣ってるんやなぁ」と感じる不思議。
エンディングの箱馬を片付ける場面、最後まで手伝わなかった父親に対し「少しは父親らしいところを見せろ!」と父親をにらむ母とこども達。その視線を受けて、しぶしぶ片付けようとする父親ですが、結局1個残して逃げてしまうだらしなさ。「仕方ない」とその残った箱馬を3人で片付ける母とこどもの優しさというか、だめな父親を受け入れている愛情というか、しみじみよかったなぁ。
ひとつ気になったのは、ヤングというユニットですが、実際に若い俳優3名と、キャリアを積んで力を持った4人の俳優の力量の違いと言いましょうか、例えば箱馬を重いもの(コンクリブロックなのかな)と認識して扱う動作や、高い煙突の上と下という設定を表現するため、あえて視線をずらそうとする演出への対応とか、やっぱり違ったなー。
けどけど内藤さんの「劇団員は下手でもいいんだ、劇団の中でいくらでも鍛えることが出来るから」という言葉もあるので、若奈ちゃん、ファイトやでー!佐藤さん、佐野さんもこれからの活躍を期待してます!また高知に来てね!!
個人的には今回照明オペ2件、音響オペ4件を担当したのですが、いやーまだまだ精進せねば。また次回がーんばろっと。
あーおもしろかった!