ZOI***「くだんのはは」(2024.01.27)

昨日はメフィストフェレスにて、ZOI***「くだんのはは」を観てきましたよ。
ZOIはとある企画がきっかけで産まれた、シャカ力加藤春菜はんと情熱ダイヤモンド渡邊沙織さんを中心とした、岡山・愛媛・高知の演劇人によるユニットで、今回の座組みはオール女性。
昨年の第1回公演は自分の仕事と被ってうかがえず、今回初ZOIとなりました。

いや、すごかった。
会場の条件的に「このくらいかな」とイメージしていたものを大きく飛び越えるクオリティ。
冒頭、客電FO後に暗転板付き、卓上の照明ONと合わせて発せられた渡邊さんの最初の台詞の圧というか、彼女の集中力は、一瞬で客席の空気を舞台と同じ緊張感に変えていました。
演出的にはベーシックな始まり方だけど、全てのセクションの丁寧さと集中力。俳優の技量。すごい(語彙力)。

メフィスト(2階ホール)は、ご存じの方は分かると思うのですが、映画上映に適したミニシアターで、いわゆる舞台袖というものがなく、舞台照明もベーシックなレールライトのみでして、演劇公演を打つにはいろいろと大変なのにも関わらず、シンプルだけどしっかり意図もうかがえる舞台美術と、和裁士でもある萌子さんが入ることにによる衣裳の美しさ、そして会場のありものの灯体だけで、ここまでできるのか!?と衝撃を受けた照明(もし自分がこの現場に照明で入るのなら、どうやっても追加仕込みしたと思いますが、今回以上の効果は絶対出せなかったと思います)、音響で、小松左京さんの名作ホラーをしっかり表現されていました。

戦時中の世の中の空気感と、そこに従いながらもいびつに浮かび上がる人物の絡まり具合、エンディング直前の感情の爆発と絵の美しさ。
ラストに実際にくだんを出した場面、この世にありえない異形の存在を形にすると、どうしても作り込みの荒さだったりが目に付くのですが、今回はそこすらも徹底された美しさと恐ろしさでしたよ。
冒頭のシーンに帰結する魅せ方も、主人公を女性としたことで、さらなる切迫感が出ていた見事なエンディングでした。

いやー、いいもの観た。
演出は誰が担ったのだろうとパンフを見ると、ZOI名義なのかー。みんなで創ったということなのかー。
SNSの愉快な投稿と真逆のストイックな座組み。これはグッときちゃうね。
どうか引き続き活動してもらえますようにー。
みなさん、ありがとうございました!