ばぶれるりぐる「川にはとうぜんはしがある」(2024.03.01)
無事終了しました、ばぶれるりぐる高知公演感想文。
本公演に向けたインタビューで竹田モモコさんが「自分と同年代の人たちを褒めてあげたいという思いで書きました」と言われていたように、物語の基軸は古川家の2人の姉妹。
イラストレーターとして神戸で活躍し、実家に戻ってきた姉(早希さん)と、地元で就職・結婚し、子どもを育てた妹(陽子さん)。
好きなことを仕事にして生き、それ以外のことは上手く立ち回れない早希さんと、地元の真っ当な価値観の中で、どこか自分を殺して生きてきた陽子さん。
この2人に加わる、20歳を前に自分の進む道を考える娘(みまちゃん)と、どこか達観した存在のお父さん、この街に移住してきた若者(生田目くん)の5名全員の人物描写が素晴らしく、愛おしい人たちのあったかい物語でした。
今の社会はホントにひどくて希望が持てない。
無関心を重ねてこんな世の中にしてしまった原因は自分たち現役世代にある。
そんな中で若者はどうやって幸せを見つけていくのか。
みまちゃんの予想外の選択は、確かにいろんな価値観をひっくり返すような、でもある意味リアルで、このミクロを描きながら社会を感じる感覚は、旗揚げ公演「ほたえる人ら」以来のような気もしました。
そして競争の中で結果を出し続け、生きていくことのしんどさ。
生田目くんが言った「好きなことを仕事にするのは危うい」という言葉は、作品を世に出し、評価のあらしに飛び込まないと生きていけない演劇人の竹田モモコさんを、人間竹田モモコさんが俯瞰して見ているのかなー。
娘に自分と同じ道を進んでもらいたいと、自分の知らない世界を怖いものとして認めなかった陽子さん。
「どこで間違えちょったがやろか」って台詞に「あんたは何も間違えちょらん、あんたは凄いことをやった」と陽子さんを抱きしめた早希さん。
あぁ、こうやって書いてても心がぐっとなる。泣きそう。
きっと観た人それぞれの立場で、感じ方が変わる作品だったと思います。
ある方は「今の私には刺さりすぎました」って感想くれたり、あるヤングは「作品から滲んでくる優しさが苦しくて帰り道ボックス踏みたくなりました」と書かれたり。
僕自身も、(子ども部屋を改装してレジデンス用合宿部屋を作った)自分の子離れのダイナミックさを振り返ったり、「好きなことを仕事にしている」ことの喜びとしんどさに改めて向き合ったり。
劇中言われた「30年経ったらこの街も無くなる」という台詞の重さもそう、なんかうまくまとめられませんが、ちゃんとこれからの「自分の幸せ」を考えようって思った次第です。ルンバ買おうかな。
ステキな作品、ステキな座組みでした。
そんな中にちょこっと混ぜていただいてありがたい限り。
みなさん、ありがとうございました!引き続きよろしくお願いします!