南河内万歳一座「新・あらし」(2024.06.07)

昨日は一心寺シアターにて、南河内万歳一座「新・あらし」を観てきましたよ。
「あらし」はもともと「トリプル3 演劇ワリカンネットワーク」という、大阪、愛知、三重の3府県の文化施設で作品を創作して巡演する企画で2010年に作られ、その後2014年に高知、2016年に兵庫(豊岡)で上演を重ねた作品です。

表現を続ける以上、作品を発表すれば良い評価、悪い評価、さまざまな評価にさらされる。そんな評価に揺れる様を、学校の教師という立場を通じて描くという内容ですが、非情に余白の多い、個人的には「幽霊」のイメージだったり、エンディングに向かう流れだったり、台詞よりも、分かりやすい感情表現よりも、もっと言葉にできないココロの中で蠢くような何かこそがこの作品の大切な部分だなって思ってます。

2014年に高知で上演した際は、内藤さんと万歳の俳優・鈴村さんをお招きし、高知の俳優と1ヶ月にわたり稽古を重ねました。
一進一退ながらも、内藤さんの指導に必死に食らいつく高知のみんなにグッときたり、上に書いたココロの蠢きが爆発したような、鳥肌が立つような稽古の瞬間に立ち会えたり、稽古後は内藤さん、すずむさんとお酒を飲みながらいろんな話をさせてもらったりと、今思えば人生でこんなに幸せな時間はなかったなーという季節でした。
ちょうどこの頃、劇団の大きな転換点といいますか、主要なポジションを担っていた劇団員の退団などで揺れる中、「大丈夫だよ!劇団はちゃんと転がしていくから」と言ってた内藤さん。10年経ってもしっかり約束を守ってくれてます。

ということ今回の「新・あらし」。
戯曲はほぼ初演のままで、演出も基本変わっていませんでした。
ではどこに「新」がつくのか。きっとこれは、今回の主軸を担った、3人の劇団員(丸山くん、とんちゃん、ありたつ)と、オーディン参加の若い俳優の皆さんに向けてだったのかもしれません。
そんな若者を支え、引っ張るゴリさんとまつ、圧倒的な存在感で物語を引き締める鴨さんと内藤さん。
きっとこれがプロデュース公演だったら、もっと役に適した、上手な俳優さんを迎えて作ることができたかも知れません。けど、きっと劇団じゃないといけない何かがあるんだろうな。

10年前の高知の「あらし」。稽古終わって内藤さんと飲んでたときに「劇団は人を鍛える場でもあり、創作に必要なものを共有する集団なんだ」と言ってたのを思い出しました。
ひょっとしたら、時短・タイパの今の時代にそぐわなくなってるかも知れない。それでも、いろんな逆風や、あらしに向かいながら、きっと万歳という劇団はこれからも転がっていくと信じてます。
皆さん、ありがとうございました!
引き続き、応援するぞー!