空晴「かえるかな、この道」(2024.09.02)

インディペンデントシアター2ndにて、空晴「かえるかな、この道」を観てきましたよ。
空晴1年ぶりの本公演。仲良しの親戚の家に遊びに行くような、大好きな劇団の皆さん・スタッフの皆さんのお顔を見て、いつもと変わらない暖かな作品世界に包まれる幸せな時間です。

とはいえ「いつもと変わらない」なんて実際にはない。
劇団も転がっていくし、べっちさんの劇作だって同じものはひとつもない。
あらためて、作品にも通じる誰かの人生が少しでも重なる大切さを感じた次第です。

べっちさんの書く作品は、これまでもお能の影響が強く、その中でも遠くに旅立ってしまった人の描き方にそれを強く感じていたのですが、今回は能の名曲「隅田川」を取り入れるというさらに踏み込んだものに。
橋がかりを思える舞台装置、おたふくのお面、まつりごと。そして物語。
いろんなところにお能を感じながらも、そこで描かれる人物の愛おしさ・空晴らしさもしっかり感じる作品でした。
一方で、近作で多く感じられた、強く刺さる誰かの傷の描き方は逆に抑えられた印象でした。

それでもいいのかも知れないな。
僕は何を求めて演劇を観るんだろうな。
今後はどんな作品になるんだろう。
「今度」がこれからも続いてほしい。
と、心から思える観劇体験でした。

素敵な作品、ありがとうございました。
皆さん、引き続きの東京・北九州公演、ファイトです!!