蛸蔵ラボvol.10(2024.10.19-20)


 

観た作品はちゃんと頑張ってテキストに残そうと、振り返り感想文。
小作品を持ち寄って上演する企画・蛸蔵ラボ、10回の節目に参加していただいた作品を振り返ります。

シンゲキ(島根神在劇団)「落語Ⅱ」
島根の劇団の皆さんにやってきていただきました。劇団員の大西寧々さんが2019年の蛸蔵ラボvol.6に参加してくれてて、そのご縁が繋がっての上演です。当初日曜の1ステージだったのが、体調不良で出演キャンセルとなった容原静さんの代打でも出ていただき、ありがとうございました。
作品はこれまでの常識に捕らわれない「新しい落語」。一人じゃ無くても良い、扇子と手ぬぐいじゃない小道具を使う、バトルものなんていいね、なんて型破りな展開の中に、古典への愛を感じられる作品でした。あとジャンプ愛凄かった。

松葉川健一「パントマイム 習作」 
松葉川さんとはいろいろご縁はあったものの、しっかりパフォーマンスを観る機会は今回がはじめて。
演劇実験空間と名乗っている蛸蔵ラボに、パントマイムとジャグリングのパフォーマンスで挑んでくれました。
BGMをバックにパフォーマンスすることは、展開も作れるだろうけど、失敗したときのリカバリーも難しくなる。そしてパフォーマンスはかなりギリギリをつくもので、ドキドキしながら見守っていましたが、松葉川さんの本番の強さ、さすがでした。

シアターTACOGURA×藁工ミュージアムーいろいろいろを楽しむ演劇プロジェクトー「あゆみ」(短編)
様々な個性を持つ方や多様な立場の人々と舞台作品を作るシアタコ&藁工ミュージアム。今回はなんと初の手話劇に挑戦です。発語と手話をどういうバランスで行うか、きっと沢山のトライ&エラーを重ねての今回の形なんだろうな。基本は発語と手話の両方を行い、りみさんは手話のみ、そのりみさんの台詞は下手の車椅子に座った今井さんが発声するというスタイル。
物語はハリー、りみさん、柴さんがそれぞれの年代のあゆみと未紀を演じていくもので、本来舞台を走り回る作り方が、蛸蔵ラボの共通舞台の仕様の関係で自転車を使ったりしてるものの、間違いなく「あゆみ」でした。泣けた。
りみさんが舞台に立つのを観るのはこれが4回目だけど、今回がいちばん役者らしく感じました。それはこれまでの経験もあるだろうし、手話でみんなを引っ張ろうという気持ちが今回の立ち姿になったのかな。
物語ラスト、柴さんと竹下さんの会話の最後、発語がなくなり手話だけになる場面で、なんだかまた泣けてしまった涙もろい51歳(こうやって書いてて思い出すだけで鼻がツンとなってます)。

hanana_byパーラー歌小屋の2階「幕間」
松花菜さんが、ご主人のまろんさんの書いたテキストを朗読する形式の舞台。冒頭のご挨拶で、昔所属していた劇団(ターキーストレイト)から演会の立ち上げに参加して、いろいろありながら今回蛸蔵ラボに参加されたことを話されてて、なんだかグッときた次第です。
お話はある夫婦の出会いと死別をそれぞれの視点で描くもので、清水邦夫さんの「楽屋」を思わせるような、どうして人や魂は劇場に集うんだろうな、なんてことを考えながら観ておりました。
花菜さんが大切にしてきた演劇と、歩んできた道のりの一部でも今回の舞台で出せたとして、これからの演劇人生が、いろんな人と交差しますように。

Kochi Kozo「Pink!」
世界的なコンクールでも優勝する、日本を代表するスゴ腕マジシャンのTokyo Tomoさんが名前を変えて、マジックと演劇を融合した舞台を作ってくれました。Tomoさんとはこれまでもマジックショーのお手伝いもしていましたが、今回の冒頭、落ち着いた空間の中で行う静かなマジックの演出や、マジックの歴史も振り返るトークなど、しっかり演劇実験空間に向けた構成のショーでした。
何よりマジックの精度よ。まったく意味がわからない、というか奇跡が目の前で起こってるよ。今回の音響照明ブースの歓声を一番にさらった素晴らしいパフォーマンスでした。

 


高知演劇ネットワーク演会プレゼンツ
蛸蔵ラボvol.10

公募により集まった県内外の劇団やユニット 総勢6組による、交流とスキルアップ、 そして演劇の可能性を追求する2日間。
この空間で新たな才能が芽生えるか? 新たな手法による実験は成功するのか?
まだまだ勢いが止まらない、蛸蔵ラボ第10弾!

日時
2024年10月19日(土)17:30開場18:00開演
2024年10月20日(日)13:30開場14:00開演

会場
蛸蔵(高知市南金田28)

料金
一般前売り2,000円(当日2,500円)
学生前売り1,000円(当日1,500円)

前売り券販売所
高知県立美術館ミュージアムショップ

主催
高知演劇ネットワーク演会

お問い合わせ
高知演劇ネットワーク演会(吉良)
080-3165-6889
tacogura.labo@gmail.com

 


容原静「砂窟の花」

作・演出:容原静

「その時」を静かに待っている彼は地雷の爆発に雀躍す。
言葉で表現出来ない感傷を演劇で表現する容原静。
退屈な渇いた日常に抑えがたい破壊衝動が交差して容原静が終焉へ向かうプロムナードに光が燈る。
死は甘美な薬。
死によって容原静は完成する。
砂丘の容原静に花が咲く。

鉛のように日々を見よ。
言葉で表現出来ない感傷を演劇で表現します。
此処最近の舞台で得た感触を確かなモノとする為に、高知へ向かいます。よろしくお願いします。


松葉川健一「パントマイム 習作」 

作・演出:松葉川健一

パントマイムのオーソドックスな技術を練習するためのエチュードです。
ストーリーはあるようでありませんが、動きと心の動きを重ねるようにして作っています。

四万十町を拠点にジャグリングのパフォーマンス活動、大道芸活動をしています。
おとぎと魔法の劇場、における学校公演や、ジャグリングの体験教室、オンラインでの教室を行っています。


シアターTACOGURA×藁工ミュージアム
ーいろいろいろを楽しむ演劇プロジェクトー
「あゆみ」(短編)

作:柴幸男(ままごと)
演出:藤岡武洋(シアターTACOGURA)
出演:尾﨑里美、大沼花依、柴千優、竹下雄二、今井理恵

あの時、誰かになりたかった私は、今どこにいますか?
「岸田國士戯曲賞」受賞、柴幸男の短編演劇に手話で初挑戦!
あゆみと未紀、二人の少女が過ごした時間を複数の俳優が歩き繋いでいく。

障がいのある方を含む様々な個性を持つ方や多様な立場の人々が、協働して演劇作品をつくる、2017年から始まったプロジェクト。
手話を用いた演劇作品づくりという新たな試みを、演劇の可能性を追求することも目的の一つにしている演劇実験空間「蛸蔵ラボ」で行います。


シンゲキ(島根神在劇団)「落語Ⅱ」

作:片山順貴
演出:伊藤圭祐、大西寧々、坂道うら
出演:齋藤和樹

物議を醸すタイトル「落語Ⅱ」読み方は、らくごツー。
落語通の貴方も必見!
ターミネーター2にマツケンサンバⅡ、ストリートファイターIIにぼくのなつやすみ2。
「ツー」というものはなんだって良いものなんです。

2023年、松江市において創立。島根県で、地域の文化活動に参画する機会を創出することを目指して活動。
これまでに、島根大学演劇部とコラボした短編演劇祭「アーリー・サマー」、参加者公募型の自主公演#1「アイのセンタクキ」、また#2「まるくおさまるはずもなく…!」を上演。
今回は初参加の蛸蔵ラボにて、一人芝居「落語Ⅱ」を上演する。


hanana_byパーラー歌小屋の2階「幕間」

作:松まろん
演:松花菜

日常から死の底へ、芝居見物の後、夫は突然闇の中へ旅立った。
魂はあるのか、夫が語る暗闇の詩を朗読。

歌小屋の2階で自作自演の朗読活動を行う、2024年は松まろんオリジナル作品を朗読中。
7月~10月は同作品(幕間)を歌小屋の2階で回数を重ね育て、蛸蔵ラボへ参加する。


Kochi Kozo「Pink!」

作・演出:Kochi Kozo

混迷を極めたこの世界の片隅にいま、一筋の奇妙な術が生まれようとしている。
戦争、疫病、自然災害。
あらゆるこの世の憂いに立ち向かうにはあまりにも非力なその術はしかし、よろめきながらも確かに、自らの足で立ち上がった吹けば消し飛んでしまうほどささやかな魔法を大切に集め、そして思いっきりふくらませたソーサラス・オブジェクトシアター。

いつの日か自分のアクトをみんなに見てもらえることを夢見るプレスティディジテイター。
マニュアル・デクステリティーを用いて舞台上に唯一無二の芸術空間を作り出すべく、夜も寝ないで昼寝して研究に励んでいる。


大演劇交流会開催!

初日終了後、会場内にて高知県内外の演劇人(創る人、観る人、支える人)が一堂に集い、高知最大の演劇大おきゃくを開催します。
演劇好きな方ならどなたでも参加OK !
いっしょにお酒を酌み交わしながら、これからの地域の演劇について語らいませんか?
参加料は1,500円(軽食・飲物代)、 参加希望の方は、高知演劇ネットワーク演会 吉良(080-3165-6889)まで!