セントラルドグマ大野「いざっ再脱藩!」インタビュー

2019年に開催された「ハイスクールマンザイ」で優勝し、高校卒業後東京に進出した漫才コンビ・セントラルドグマの大野健誠さん。コロナやさまざまな挫折を乗り越え、このたび新たなスタイルで「再脱藩」しました。故郷高知での記念ライブに向けた、熱い思いをお伺いしました。
──今日はよろしくお願いします。僕が最初に大野君のことを知ったのが、2018年にかるぽーとで上演した演劇公演「報われません勝つまでは」だったんですけど、元々演劇はやられていたんですか?
もともとは中学の頃から「おもしろ係」っていうのをクラスで作って、お笑いをやってたんですよ。その活動の中で「演劇はお笑いに活かせるんじゃないか?」と中学3年から演劇部に入りました。でも当時やった作品は全然コメディとかじゃなくてシリアスな、人が死ぬような劇ばっかりで(笑)
── 一番はお笑いで皆さんに喜んでいただきたいってのが大野君のベースなんですね。
そうですそうです。演劇は思ってたのと違ったんですが、それはそれで演劇の面白さに触れて、高校の時は四国大会にも出場しました。
──「報われません勝つまでは」に出演する段階で、ハイスクールマンザイにも出ているという情報を聞いていました。
高1から3年連続で決勝に出て、2019年の高3の時に優勝しました。3年連続で決勝に出たのは僕らがはじめてだったんですけど、それでも高1の時はドン滑りで(笑)。これはアカンと、場数を増やそうと東京に出て行ったりとか、あつかんDRAGONさんのライブに出させてもらったりとか、僕たちを知らない人にどうやってウケるかってのをやってました。
──高3でハイスクールマンザイに優勝して、卒業後の進路も「お笑い」を意識しましたか?
そうですね。お笑い以外の選択肢は無かったです。NSC(吉本総合芸能学院)の特待生の話をいただいたんですけど。そこを断って、漫才協会というナイツさんがやっている協会に所属しました。
──僕が知っているのが、実はここまでで。ちょうどコロナ禍のタイミングと重なったりで、思うように活動できないままフェードアウトしたような印象でした。
まず最初に高知で大規模な脱藩ライブを企画していたんですが、コロナでそれができなくなって。東京に出てもお客さんの前に立つことができなくって、配信とかyoutubeをやるしかないって状態が3ヶ月くらい続いて。それからポツポツ劇場の活動も戻ってきたんですが、そこで僕が調子に乗ってしまったというか…。なんというか…やらかしをしてしまって…。
──どんなことをしたのか、言える範囲で教えてもらったり…?
はい、あのー…ファンの子に手を出して…。
──(笑)。芸の世界の人だったら普通にありそうなのに。
いやいや、業界としては御法度になるんで。
それで事務所から謹慎になって、その謹慎中に未成年飲酒を…。
──おじさんからしたら「それくらいねー」って思うけど(笑)
いや、謹慎中にそれをしてバレたってのが…。
──脇が甘い(笑)
それでメチャクチャ怒られて、高知に戻ってきたという…。
事務所の契約期間が3年で、その時丸1年経ったくらいの時期だったので、残り2年間は自分を見つめ直すために、会社員として高知で働きました。
で、会社では営業だったんですけど、トップセールスマンとして評価されて。
──何のお仕事をしたんです?
自動車の販売です。そこで成績1番になって、副店長になって。評価もされて、いい車にも乗れたんですけど、ちょっと物足りないなと。その時同世代の新しい学校のリーダーズさんの活躍を見たりして、自分もやりたいって気持ちが出て、事務所の方にも許してもらい、再出発をすることになりました。
去年から再出発となったんですが、お笑い芸人としてではなく、今は時代も変わっているので、直接SNSから発信してお客さんをつけることからスタートしています。
──ちなみにセントラルドグマの相方の中山君とは、大野君の謹慎中にコンビとしての活動は無くなったんですか?
はい、僕が自分を見つめ直すという時に、彼は違う形で活動をすることになり、コンビとしては活動しなくなりました。
──今でも大野君は「セントラルドグマ大野」と名乗っていますが、この名前にこだわりを持ってるんですか?
自分でも気に入ってる名前ですし、地元の人にも覚えてもらっている名前なので、引き続き使わせてもらっています。
──では現在の活動ですが、SNSはTikTokとかInstagramとかですか?
そうです。TikTokとInstagramで、いまフォロワー3万人くらいいます。半年ちょっとで増やしました。youtubeはまだやってなくって、まずはショート動画で認知を取るっていう。
あと僕の会社員時代の経験を活かして、営業と漫才を掛け合わせた、「街中で虫かごを1分で売る」とか「ビオレママの格好でビオレUを売る」ってネタは結構バズりました。これがきっかけでyoutubeの「令和の虎」とかラファエルさんの番組に呼ばれてプレゼンさせてもらったり。そうやって知ってもらって、インフルエンサーさんや起業家の方の人脈も増えて、SNSを使ったプロモーションの会社をやらせてもらったり。
いま「藁から100万円を目指す」って企画をしていまして、藁の良さを伝えてって営業からはじめて、いま35万円くらいになってます。
──いま営業とお笑いというカテゴリを実践していますが、一番自分自身がやってみたいことって何でしょうか?
人に影響を与える…。感動もそうだし、笑いもそうだし。自分が表現をして、人の心を動かすようなことがやりたいですね。それが何千人何万人となっていったらいいなと。
──では今回の高知公演についてお伺いします。どういう経緯で今回の公演をすることになったんでしょうか?
一番大きかったのが2020年に企画した脱藩ライブがコロナでできなかったこと。あと自分自身の再出発を高知の方に知ってもらいたかったのが一番です。期待を背負って上京したんですけど「いつの間にか消えた」みたいな感じになってる。そんな中で今の自分を知ってほしいし、地元高知を応援したいし、応援されてから東京に行きたいって思いから企画しました。
──で、いったい何をやるかというと…「なんじゃこりゃ?」な構成で(笑)。まずは午後にアイドルライブを企画しています。
これは、僕自身東京でアイドルに関係した仕事をやっているというのと、お客さんの層がお笑いとアイドルで違うじゃないですか?そのアイドルのファンの方だったり、いろんな世代の方にも自分のことを知ってもらいたいという気持ちで企画しました。
──そして夜の部が本番と言いましょうか…。しかしこの出演者…意味が分からない(笑)ちょっと、一人ずつ聞かせてもらっても良いですか?まずSareeeさん…めっちゃメジャーな女子プロレスラーですけど。
Sareeeさんとは実は繋がりがありまして。ライブ観にいかせてもらったりして、今回オファーしました。あと実は僕、空手を8年やってるんですよ。
──ほう。
Sareeeさん女子やから、勝てるんちゃうかなと。
──戦う?(笑)
戦うっす!
──(苦笑)。では次の出演者、レスリング金メダリストの清岡幸大郎さんです。
清岡君とは同級生で仲良しなんです。で、僕はセントラルドグマで龍馬賞というのをいただいたんですが、その後に清岡君が県民栄誉賞って新しい賞をもらって悔しいなと。さらに僕の方が身長も体重もあるし、レスリングでも勝てるんちゃうかなと。
──なるほど(笑)。では次、完熟フレッシュさん。
完熟フレッシュさんとは漫才協会でご一緒させてもらってて。ご飯とかご馳走してもらったり。漫才一緒にさせてもらって、東京から見た高知というトークもできたらなと思ってます。
──こちらは勝とうとはしてない?
お笑いで勝つっす!
──(笑)。そして次がまた謎な…まつりのさん。
まつりのちゃんは、高知中央高校で女子野球部全国準優勝して、TikTokでもめちゃバズってるんですよ。僕らから下の世代だと知らない子は居ないくらいの存在で。そんな世代の方も取り込みたいなと。
で、まつりのちゃんは野球やってたと言っても女子ですし、僕空手やってたんで…勝てるんじゃないかなと。
──グリーンホールで野球対決(笑)
あとはインフルエンサー目線で高知のことをどう思うか、お話してもらえたらと思ってます。
──真面目なこともたまに言う(笑)。では次のスーパーバンドさんは?
スーパーバンドさんとは選挙広報のキャラクターでご一緒させてもらってて。あと歌というところだったら僕も「高知とよさこい下克上」という曲を出してるんで…歌でも勝てるんちゃうかなと。
──分かりました(笑)。では最後のARU Bellyさん…ベリーダンスは戦いようが無いよねぇ。
ARU Bellyさん全国のいろんな賞を取ってるグループですけど、僕ダンスめっちゃ上手いんすよ(笑)。よさこいも小学5年から踊ってて、ベリーダンスの素質もめっちゃあるみたいで。これホントに勝てるんちゃうかなと。
──では最後に「セントラルドグマ2025」とありますが、これは何をやるんでしょうか?
漫才です。
──1人で?
いや、相方います。
──相方はシークレットと。
えぐいっす。ヤバい人出ます。全員知ってる人で、皆さんびっくりすると思います。
──けど、そんな凄い人だったら、名前出した方がチケット売れるんじゃないです?
いや、大物過ぎるんで、あえて隠しています。この人の名前出さなくても集客いけますし、それ以上の人ですから。
──このセントラルドグマ2025はこれから先も活動するんですか?
いや、わかんないっす。今回限りになるかも知れないし、続くかも知れない。
──それでは今回の公演のコンセプトを聞かせてください。
今回東京からの出演者と、高知の出演者と分かれています。この催しで東京から見た高知と、高知から見た東京。これを語りあわせて「高知ここはダメながぞ」とか、ディスったり、笑ったり、褒めたりして、これから高知がどうすれば盛り上がるかを県にレポート提出したり、youtubeに出して高知をプロモーションしたり。こんなことを毎年できたらいいなと思っています。
──「脱藩」って言葉はマイナスに取られることがあるけれど、大野君にとっては高知を大事にしながらも東京で頑張るぞと。そして現時点の大野君を高知の皆さんに知ってもらう大事な機会ということですね。
坂本龍馬は脱藩しても、高知にものすごく還元してますから。僕もそれ以上に、坂本龍馬を超えるくらいになりたいなと思ってます!
──では高知のお客さまに、今回の公演にかける意気込みをお願いします。
いろいろ僕もやらかして、期待をしてくれた方を裏切るような行動をしてしまったのですが、これから再出発して、高知を盛り上げられるよう頑張っていきますので、どうぞよろしくお願いします!
──ありがとうございました!セントラルドグマ大野~いざっ再脱藩!~は2025年5月17日(土) 高知県立県民文化ホールにて上演します。沢山のご来場、お待ちしております!
セントラルドグマ大野〜いざっ再脱藩!〜アイドルライブin高知
セントラルドグマ大野~いざっ再脱藩!~高知とよさこい下克上