シアターランポン「R.U.R.」(2025.06.05)

長野県松本市の手作り劇場・ランポンシアターにて、シアターランポンの「R.U.R.」を観てきましたよ。
駅前の雑居ビルの1フロアを借りて、大家さんやテナントの皆さんの協力の元、好き放題(失礼)に自分たちの劇場をDIYするランポンの皆さん。俳優だけの劇団だけど、それぞれの得意分野を活かしてスタッフワークやクリエイションを進めるランポンの皆さん。演劇が好きで、松本という街が好きで、松本の皆さんにも愛されている(街中に貼られたポスターからも関係性がよく分かる)素敵な劇団。いいなー。街も劇団も羨ましい。
前回観た公演は、武井卓さん作演出のハチャメチャだけど愛おしい音楽劇でしたが、今回は細川貴司さん演出で、カレル・チャペックが1920年に発表した社会性の強い硬派な作品となります。劇団の中に複数の作家や演出家がいて、それぞれの個性をしっかり作品で出せるというのは、俳優の力量もそうだし、劇団内の関係性もしっかりあるからだろうなー。
今回の作品「R.U.R.」。はじめて「ロボット」という言葉を取り扱った作品というのは知っていたのですが、物語の中身までは知らない状態での観劇。こんなにストレートに愛の大切さを謳う作品だったのか…と、衝撃を受けました。
古典や近代の海外戯曲だと、翻訳された文章もクセが強いものが多く、言葉のチューニングが大変なのですが、今回細川さんが原文戯曲から翻訳作業を行っており、生きた言葉が耳に入ってくることで、物語冒頭から人間の営み、そして人間の愚かさ、個と集団の意識の違いなどがしっかり伝わってきました。
細川さん曰く、原作通りに上演したら3時間40分ほどになるそうですが、大切な要素を残しながらも、冒頭からジェットコースターのように展開されるスピード感。ランタイム2時間10分があっという間だったのは、翻訳や演出の力に加えて、原作中盤(2幕)でひとつの物語として完成されているのも大きなところだと思います。
ロボットを作り、労働を任せ、戦争までさせた人間。ロボットからの反乱に抗う人や取引する人、罪を受け入れる人。愚かで愛おしい人物が際立つことで、3幕の武井さんの独白に繋がる物語でした。
堀田さんと茜ちゃんの若い男女を軸にしながら、ふたりをしっかり支える座組みの皆さん。武井さん・純太さん・下地さんの安心感と、荒井さん・深沢さんの溢れる個性。飼い殺しの小部屋に籠もって音響照明のオペをするマルチな細川さん。つくづく面白い劇団だなー。
僕が観たのは2日目の公演で、ふたりの緊張が作品のスピードや色にもなっていたのですが、ステージを重ねることで、また違う景色が浮かびそうです。
6月16日(月)までの全15ステージ。どうぞ多くの方に観ていただけますように!
皆さん、引き続きふぁいとですー!!