劇団UZ「あの鳥は鴎とも」(2025.11.30)

昨日は松山のアトリエhacoにて、劇団UZ「あの鳥は鴎とも」を観てきましたよ。
僕が劇団UZさんを好きなのは、作演出を務める伊豆野さんの恐らくライフワークであろう「社会的に存在しないような扱いを受ける人たち」を丁寧に描く作風です。
政治や、経済や、福祉や、教育や、いろんなところから切り捨てられる人を、血の通った1人の人間として描き、彼らの置かれている状況を現代の日本の問題として映し出す、真っ当な作り方。
それを松山という街から、自分たちの劇場を作る途方もない努力を重ねながら発信するという、作品も、活動も、全部含めて尊敬する演劇人です。
今作は能の名作「隅田川」をベースにした子どもの誘拐事件を題材に、外国人技能実習制度の闇を描くものでした。
といっても一面的な描き方ではなく、外国人労働者の中でのヒエラルキーや、世代や立場などからも見え隠れする日本人の生きづらさ、ガス抜きのように短絡的な外国人へのレイシズム、さらにはブローカー制度や国策への疑問や問いかけなど、さまざまな層から物語が展開します。
個人的に響いたのは、高齢者介護施設に入居する差別主義の老女と、彼女を介護する外国人技能実習生の場面。きっとひとりの人間として、お互いが向き合えば…と、このどうしようもなく停滞した社会の中に浮かぶ小さな希望のような場面でした。
演出面ではいろんな手札を持っているにも関わらず、今作は過剰な演出をそぎ落とした作り方がとても良かったです。
創作とはいえ、作品に魂を吹き込むためのリアリティは絶対に必要で、きっとそれは底なし沼のように深く、安全な場所から観察するだけでは生み出されないんじゃないかと思います。それでもこんな作品を作り続ける劇団UZさん、本当に尊敬します。
残すは今週末の4ステージ。どうか多くの方に見ていただけますように!