ゆうめい「養生」(2025.12.12)

ものすごい演劇を観てしまった…。
不勉強なものでカンパニーについて存じておらず「2024年の初演時、4日間(しかも会場スズナリ)の上演にも関わらず大きな反響を呼び第32回読売演劇大賞優秀演出家賞を受賞した作品」という県文からの案内だけを予備知識にして、まっさらの状態で観劇したら…やられてしまった…。
舞台は営業時間終了後のショッピングモール。お客さんが来ない時間に催事場の設営・撤去やディスプレイの更新を行うお仕事に従事する人のお話。
深夜の肉体労働。離職率が高く、クセの強い人しか残らない環境。大学生アルバイトから見た正社員と、先輩社員から見た後輩社員のコントラスト。
自分だけは特別で、何者かになれるという根拠のない自信に溢れていた10年前と、社会に出て、いろんなことを諦めた(でもどこかまだ諦めきれない)現在の、ふたつの季節を往復する物語。
表現で成功することへの憧れ。成功者への屈折した感情。自虐。
舞台に登場する人物4人の描写があまりにもリアルで、むき出しで…。ある季節の幼さも、ある季節の諦念も、いつかの自分に重なるような痛みを感じながらの観劇となりました。
一度も舞台に登場しなかった、著名作家となった同級生はどんな人だったんだろう。
登場人物からの視線でしか語られなかったからこそ、どんな作品を制作していたのか、どんな苦しみを持っていたのか、描かれないこともある意味リアルでした。
3尺から6尺くらいの脚立を組み合わせた不思議な舞台装置、養生テープのカーテン。美大の卒業制作で作られた作品が、もし評価されていたら…。それはそのまま、目の前で上演されている舞台作品にも繋がっているようで、評価というコントロールできない波に翻弄される、表現者自身のお話だったのかもしれない。
いろいろやられまくって、うまく感想言えませんが、この作品に出会えたこと、カンパニーの皆さん、県民文化ホールの皆さんに本当に感謝します。願わくばまた高知で上演いただけますように。素晴らしい作品をありがとうございました。