多田淳之介 演出「ガリレオ~ENDLESS TURN~」(2026.03.02)

初めて伺ったSPAC静岡県舞台芸術センターにて、多田淳之介さん演出「ガリレオ~ENDLESS TURN~」を観てきました。
めっちゃくちゃ面白かった!!
この作品を県内の中高生を劇場に招待して観てもらう(学校招待公演は20ステージ以上も!)取り組みもあるなんて…。SPACの創設からしっかり歩みを重ねているからこそだろうな…凄いことだ。

多田さんがSPACで作品を創るのは今回が3作品目だそうで、今回選んだ原作はブレヒトの「ガレリオの生涯」。
テーマをシンプルに言うならば「文明や科学の進歩と、既存の価値観のズレ」の中で生きる人々を描くものでした。
ガレリオを真実を伝える悲劇の主人公という1面的な描き方ではなく、人間的な弱さや足りなさも見せ、ガレリオを裁く為政者も、学説を認めて教えを覆すことで民衆がどうなるかを考える視点はいわゆる悪役ではない。弟子や家族や友人なども含めて、社会はそんなに善悪簡単じゃないし、それぞれの価値観・考えを重ねながら動いている。

日々更新される科学の価値観、パラダイムシフトは現在のAI革命にも繋がります。
多田さんは今回の上演戯曲をAIと共に創り上げたそうで、劇の冒頭、そして終演間際にもAIからの言葉が届けられます。演劇という非生産的な取り組みを「人間らしさ」と捉えるAI。昨年かるぽーとで上演した「真夏の夜の夢」のあいさつ文で多田さんが書かれた言葉を思い出しました。

芸術は芸術が好きな人だけのものではありません。国語も算数も好きな人だけのものではないのと同じです。とても好きな人、苦手な人もいると思いますが、必要がない人はいません。芸術が国語や算数、いわゆる勉強と違うのは、答えが一つではないところです。一つの答えを見つけるのになれてしまうと、芸術が苦手と感じるかもしれません。自分で考える、自分で答えを見つけられるのが芸術です。そんなの大変、と思うかもしれませんが、世の中を見渡せば答えが決まっていることの方が少ないです。そんな世の中を楽しく過ごすために、自分で感じて、自分を見つけられる体験ができる芸術は、人間が生きていくための発明です。(真夏の夜の夢パンフレットより)

もうひとつ、今回のパンフレットで知ったのですが、ブレヒトは作品公開後も何度も書き直していたそうで、今回の原作となったバージョンは、広島・長崎の原爆投下後に出された改訂版を使われているそうです。
ブレヒトも、多田さんも、SPACの方々も、きっと作品の根底に流れる想いは変わらないはず。
その根っこがあるからこその、やりたい放題のw、強烈にポップな演出なんだろうな。
四大文明のラップ「ソラ、ホシ、ヒト、カミ」もそうだし、「月に代わってお知らせよ」もそうだし、大笑いして、度肝抜かれて、心震わす極上の演劇体験でした。
多田さん、SPACの皆さん、ありがとうございました!