劇団カラスカ「ニューシネマパラダイちゅ」(2017.05.19)

昨日は蛸蔵で、劇団カラスカ「ニューシネマパラダイちゅ」を見てきました。
はじめて名前を聞くこの劇団から、蛸蔵の利用問い合わせがあったのは、年明けくらいだったかな?
聞けば高知でおもてなし勤王党の初代龍馬役を務めていた、前田さんという方が上京して入団された劇団だそうで、いわば凱旋公演の形だったようです。

蛸蔵の入口にはスタンド花が何本も並び、客席に僕の知ってる演劇関係者は皆無、パンフレットには協賛企業がどっさりという、普段の蛸蔵からはかけ離れた(ある種発表会のような)空間の中で見たお芝居は、うーん、何というか、作風としては「カッコイイ僕たちのカッコイイところをいっぱい楽しんで」ってな感じでしたな。
役者の中では前田さんの身体性におっと思ったほか、劇中でサンプラーを操作するアシスタント役の女の子のリアクションのよさ、悪者役の二人の男性のキャラクターは「すごいなー」と思ったことでした。他の皆さんも「東京で芝居をやろう」という覚悟を持っているのは十分伝わってきました。

しかし内容的には役者のキャラクターを楽しむとしても冗長だし、劇中の台詞から取った公演タイトルの意味すら見いだせないのはどうなんだろうなー。所々で笑えるシーンはあるけれど、戯曲・演出的にはやっつけ仕事感を強く感じました。
そしてここからは作品以外のところです。
舞台関係の打ち合わせ等はしっかりされていて「さすがだなー」と思っていたのですが、いわゆる広報などの現地制作用務は自分が知る分には全くされてなくって、ホントに前田さん個人の関係の方に向けた凱旋公演になってるのは、せっかくの機会だからもったいないなーと感じました。

さらにチラシ裏面のコピーが衝撃でした。

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東京の劇団が高知へ!
高知にたくさんの笑いを届け、演劇の楽しさを知ってもらい、文化活動の担い手がさらに増えることを期待し、全力で作品をお届けします!

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もしこの劇団が、本気でここに書かれたことを思っているのなら、なにかしらのリサーチやアクションがあるべきだと思います。
高知の状況を把握せずに「東京のすごい俺たちが、演劇の楽しさを知らないお前らのために、すごいのを見せてあげるぜ」ってある意味ケンカを売っているようにも取れるコピー、正直カチンときました(さらにそのコピーが書かれたフライヤーは「高知の劇団でもここまで酷いデザインはないよ!」「こんなやっつけのデザインありえないよ!」と大きな声で言いたいくらいです)。

劇団員、スタッフ、協力者が一丸になって、公演の成功に全力を尽くすのが劇団の最大の肝だと思うのですが、今回の公演は端から見るにはある意味投げやりな、チームのバランスを欠いたように感じた次第です。
もし今回の高知公演同様の情熱やバランスで東京でもやっているとするなら、やっていける環境なら「東京、たいしたことねーな」とも思います。

久しぶりに文章で狂犬。反応どきどき。