「境界」を問い、「見る」を考える映画の上映会+トークイベント(2017.05.27)

藁工ミュージアムの「「境界」を問い、「見る」を考える映画の上映会+トークイベント」、職場の許可をいただいて前半の2作品を見てきました。

エントランスに入ってすぐに川鍋さんの作品が飛び込んできます。
規則的、でも微妙なずれを持って並んでる紙の箱。
その不安定さに最初はドキッとして、けど見てるうちにこの不揃いさこそが愛しいよね、なんて気持ちも生まれる優しい作品。

鑑賞したのは佐々木監督の『マイノリティとセックスに関する2、3の事例』、『INNERVISION』の2作品。
監督が上映後のトークで言われていた「あえてドキュメンタリー的な絵は捨てている」「フィクションとノンフィクションの境界をぼかしている」って言葉になるほどなーと思ったことです。
両方の作品に通じているのは、監督の優しい視点。関わる人、繋がる人に向ける愛情が、被写体の方との関係性を生みだし、リアルな言葉を引き出したりするんだろうな。
その一方で、自分と他者との境界や、理解し合えないことへの諦めのような気持ちも見え隠れしたり。

2013年に作った内藤さん作演出の演劇公演「雨かしら」で、ヘレンケラーを演じる役者が言った「この物語は見えない、聞こえない、話せないヘレンに、サリバン先生が気持ちを伝える、言葉を教えるって話じゃなく、きっとヘレンはヘレンの世界でいろんなものを見て、聞いて、語っているんだ。ゴリ押しに自分たちの記号を押しつけるなんてズルイ!」って台詞が今さらながら頭でグルグルします。

100人いたら100人が違う世界に生きていて、他者と分かり合おうとすることで何かを押しつけたり痛みを受けたり疲弊したり。でもそうやって繋がっていかないと人間は生きていけないんだろうなー。そんな世界を暖かい視点で切り取った、素敵な作品でした。

なんだか今の自分を内省して、いろいろ考えて、うーとなってしまいますな。西の空に向かって叫びたい気分。
つくづく、後半戦も見たかった…。