TRY-ANGLE「赤鬼」(2017.06.25)

演劇祭KOCHI2017のラストを飾る、TRY-ANGLE「赤鬼」を観てきましたよ。
個人的には3年ぶりの演劇祭。過去最大の参加団体・作品数もさることながら内容も素晴らしかったなー。
「底上げ」って言葉が正しいか分からないですが、ベテランから若手まで、全体のレベルが上がってきているように感じました。
そんな中でのTRY-ANGLE。
実は演劇祭前半に上演した徳島のまんまるさんとの合同コント企画では、うーんーという印象を持っていました。その理由の一番が、若手の劇団員を上手く引き上げてないんじゃないかなって感じたのです。
TRYは演劇祭唯一の皆勤賞を誇る劇団ですが、ベテランだけで固定せず、常に新しいメンバーの刺激を取り入れながら活動してたのが、前回公演ではそこが上手く機能してない印象で。
「人を育ててこそ劇団」と僕は思っているので、その肝心なところがどうしたものか…って心配になってました。
その悪いイメージは今回、見事に覆されました。
両者とも、初舞台から知っている清里とみかみん。ふたりともキラリと輝く一面はあるのですが、俳優の技量的にはまだまだで、舞台の経験を積んで、いろいろ学んで、少しずつ表現の幅を広げていけたらいいねーなんて思ってたふたりが、そんなふたりが、ここまで素晴らしい役者に育つなんて!
どうやっても「清里っぽさ」が出てしまう清里が、しっかり役を使い分けて、しっかり「演じている」。
優しい性格のため、舞台上でも一歩引き気味だったみかみんが、堂々と自分を出して「舞台に立っている」。
そんな2人を上手くリードする領木さんの安定感。
そして谷相さんの見事な役作りと圧倒的な演技。
4者のアンサンブルの妙。いやー、素晴らしかった。
俳優の技量だけでなく、舞台装置、衣装、照明、音響、(酔っぱらいの小道具&制作もね)全てが高いクオリティを誇っていました。
その中でも特筆したいのが「見せ方」です。
いわゆる客席と正対したエンドステージでなく、斜に組んだ舞台と客席に伸びる花道。
最初に図面を見た時には、斜めに舞台を配置する意図が全く分からなかったのですが、斜めにすることで発生する、舞台のくぼみ部分を効果的に使うことでの空間の変化の見せ方や、同じく斜めにすることで舞台周辺をぐるっと回ることができ、そこで表現する距離感や時間の進め方。さまざまな場面をシンプルな動きと道具でしっかり見せる巧さ。テンポの良い演技と相まって「やるなー」と唸りまくった次第です。
演出家としての領木隆行の凄さをここまで感じたのは初めてで、ということは領木さんはまだこれからも凄い作品を作りそうだな。そしてスタッフワーク含めて今の最強の布陣に、すみことあんりたんが役者で帰ってきたら、これからのTRY-ANGLEはさらに凄いことになりそうだ。
いま、高知の演劇は、新たな盛り上がりが生まれています。
その中でTRYの作品の作り方は、若い演劇人にとって、ひとつのお手本になるんじゃないかと思います。
結成から17年経って、さらに伸びしろを見せるTRYの今後に大いに期待しています!