Washi+Performing Arts? Project Vol.3​「風の強い日に」(2017.08.22)

昨夜は美術館ホールにて、Washi+Performing Arts? Project Vol.3​「風の強い日に」、未来プロジェクト「わ(た)​しの おくに 探検隊」をみてきましたよ。例によって感想文。

まずは企画について。初演の高評価を受け、美術館の共催をもらい、その流れで愛媛・香川公演に繋げるあゆみさんの企画力と行動力は、これまでも何度か言ってるのですが、ホントに素晴らしい。職業として文化事業を行う公共ホールのスタッフよりも、多くの企画を生み出して実施してるんじゃないかしら。
その根っこにあるのは「表現をしたい」というあゆみさんの欲求だと季刊高知のインタビューでご本人が言ってました。
尊敬できることではあるのですが、公演の規模が大きくなるに従い、制作者と表現者としての両立や、手弁当でスタッフを集めるような作り方は、今回が限界かも知れないなー。大きな岐路に来たのかなーとも思った次第です。

「わ(た)​しの おくに 探検隊」について。
昨年のWSと発表は見てなかったのですが、いわゆるお教室に通うこどもさんの発表とは全く違う、自由でのびのびとした舞台でした。
前半のちっちゃい男の子のシーンでは、ワークショップの延長のような、遊びと発表が繋がった形で、石山優太さんのファシリテーターとしての力が発揮されていましたね。
後半のおねーさん達のシーンは、ダンスの強みである、感情表現にフォーカスされていたようです。参加された方は、自分をさらけ出すというドキドキを感じてもらえたのではないでしょうか?
ただ、両方のパートに言えるのは、身体的にベーシックな部分を除いて作られていると思う(短い期間だし、そりゃそうだ)ので、途中ぶつかったり、強く引っ張られたり、「危ない!」と思う場面がありました。
あんな大きなホールでの発表なので、動きに勢いがついてたり、照明を浴びることで見えにくかったりというのもあるので、その辺はもっと丁寧にした方が良いと思います。大きな事故がなくてよかった。

そして「風の強い日に」です。
座席をかなり潰していたのですが、それでも満席と言っていいくらいのお客さんが来られていました。忙しい中でもお客さんに見てもらうための努力を惜しまなかったあゆみさん、偉い!
作品としては初演を踏襲した内容でしたが、ホールに持ってくることで和紙で覆った舞台(おおごとだったろうなー。領木さん、委員長、ご苦労様でした!)、そして皿さんの照明と、舞台空間は大幅にパワーアップしていました。特に外側から和紙を透かした照明は綺麗だったなー。しみじみ。

しかし作品としては、昨年蛸蔵の空間で作った作品を大きなホールにそのまま持ってきたため、例えば生声と録音した声の差だったり、狭い空間だからこそ全体に緊張感を伝えていたのがどうしても拡散してしまったり、動きの段取りもちょっとたいへんそうだな、という印象を受けました。

これは美術館に言いたいのですが、共催事業として受けて、そしてホールで作品制作の実績もある美術館なら、クリエイションに割く時間をもっとこの公演に使ってあげてほしかったです。
贅沢を言えば1週間、少なくても4〜5日舞台を自由に使うことができたら、きっと竜さんは、この会場ならではの「風の強い日に」を生み出せたんじゃないかなー。
本番前々日の夜間から仕込みに入って、そして未来プロジェクトのリハと発表も兼ねるというのは、あまりに酷だったと思う。そこはあゆみさんも、詰め込むだけじゃなくて、取捨選択することも大事じゃないかなって思いました。

過去に美術館ホールで見た、ダンスカンパニー「BATIK」のような感情が爆発する衝撃を、この作品は秘めていると思うので、今回はちょっと残念でした。
できれば、しっかりした作品制作の体制を整えて、もう一度美術館と組んで、竜さんの作品を作っていただきたいものです。

と言いながら、まだこのツアーは終わってない!
高松の本番が、またさらに次のステップに繋がるはずだ!!
みんなー!頑張れー!!!!