蛸蔵ラボvol.4(2017.10.14-15)
先週末、というか先週一週間は蛸蔵ラボウイークでしたよ。
今回で4回目となる蛸蔵ラボ。
実は参加募集締め切り直前まで申し込みが少なくって、制作主体の蛸蔵ラボ5人衆(みきさん、領木さん、吉良さん、花ちゃん、わたし)は、あわあわしてたのですが、締め切り直前に枠を超えるお申し込みがあり、しかも申し込み時点ではコンペのような形は取っていなかったので、さぁ選考をどうするかと今度は一同やーやー話し合った末に「スキルアップと交流」という本事業の主目的の元、県内5団体、県外5団体の作品を上演することとなりました。
県外勢の参加比率が多くなることは非常に刺激的で、今回も初めて見る劇団にいろんな刺激を受けた次第です。
しかし券売・動員面との兼ね合いだとか、1日5作品という詰め込み方とか、まだまだ課題はありますが、この企画自体がちょっとずつ成長していくものと受け取っていただければありがたや。
最後の挨拶で吉良さんも言ってたのですが「点数を付けない」というのがラボの持ち味じゃないかなーなんてことも思ってますぜ。あくまで作品を観た個人がどのように感じたかが重要じゃないかなって思うことです。
ということで私的な感想文(短縮版)10連発
■からくり敬三「とも子」
インパクトという意味では、1発目で最大値でした。
この1枚目の写真以上のことは言えまい。
生き物万歳。
■トリトゲンソ/舞台屋ナスカ「友情探偵」
連続出場の高知大さん。毎年作も演出も出演も変わるのに、なにか通じる部分がありますね。
ある意味緩い、日常の何かを膨らませたコメディー。
残念ながら経験値や力量では見劣りする部分も多かったですが、この場に出てきて、他の作品を観て、いろんな方と交流することが彼らのいい刺激になったらなー。
10月末のすずむさんの演劇WSにも参加してくれることになって、ありがたやん。
■やまつの「つくりばなし」
津野あゆみ、新境地。
突っ走るだけだった、体当たりするだけだった津野さんが、ブレーキを踏んでる。
演出・共演された山本さん、丁寧な物腰ながらも感じるピリピリ感。的確な演技指導とあの演技。この人は半端ないな。
戯曲の面白さとふたりのバランスの素晴らしさ。今回会話劇をやった皆さん、どうぞこの作品の感想を聞かせてください。
■イチニノ「誤差」
イチニノさんは今回照明のシーン組みに回ったため(各団体に割り振ったメモリー数で足りなかったため手組みした)、舞台をほぼ見れてないのです。ごめんなさい。
声を聞く程度の感想なのですが、間の詰め方、空け方、集中力。各地で公演を重ねて熟成されているんだなーと思いました。
梅木さんの声の質と声量が素晴らしかったな。
■シャカ力「オオカミ少年」
四国劇王、かもめ演劇祭、カブフェス、劇王アジア大会を経て高知にやってきた「オオカミ少年」。
作品もリライトを重ね、悔しい思いもしながらも真摯に受け止め、けど自分を曲げずに作品に向き合ったであろう行正さん。なんかいろんなものが結実した瞬間だったんじゃないでしょうか。
終演後の拍手が鳴り止まなかった客席と、その拍手を受ける行正さんを見て、こっちも涙が出そうでした。
出演陣のポテンシャルは言うに及ばずで「高知の劇団も凄いやろ!」って勝手にふふんってなったことを報告します。
■劇団身体言語「音楽劇 新・カチカチ山」
今回1番好きな作品でした。「身体言語」というまさに名は体を表すみなさん。スズキメソッドバリバリ!
個人的な好みですけど、やっぱり俳優は身体的な鍛錬をした上で舞台に立つ姿が格好いいな。若さも含めたエネルギーの発し方は見事でした。
願わくば、交流会に参加して欲しかったなー。いろいろお話ししたかった。
■Conte Unit 10kick’s「決戦!キビダンジャー」
面白かった!照明音響ブースの爆笑っぷりは敬三さんと一二を争ってました。
ユニット内の空気の良さ、自由な感じが作品にもにじみ出てましたね。戯曲のテーマも転がし方も面白かったけど、番組の進行に沿う形なら、もう少し時間的なバランスが揃ってた方がよいかなー。
■サカナノホネ「神様」
おそらく小屋入りしてから大きく成長した作品じゃないかしら。
台詞にも、戯曲にも通じるかも知れないけど、「言いたいことを言う」だけじゃなく、「言葉をどう受けるか、何のためにその言葉を紡ぐのか」って方向に向かっていったんじゃないかと思います。
梅子さんの号泣シーン、ぐぐっと来ました。おやまさんの音楽も良かったなー。
■パッチワークス「0(サイファ)」
作品のテーマは「社会の非情さ」なのかしら。「母娘の未熟な愛情」なのかしら。翻弄される母娘のお話ですが、「社会」の切り取り方が面白かったです。政府広報がなかなかいい味を出していましたね。
■M・I「ミ(つくろい)」
今回の最大の目玉、大木さんです。
果たして、どう転んでいくのか分からないため、照明的にはいつでも修正できる形(2段プリセット)で臨んだものの、初手で大きな失敗があり、以降の流れを潰してしまったんじゃないかと…ごめんなさい…。
事前に一回通せたら…もうちょっと打ち合わせを入念にやってたら…。と悔やむことしきり。
すべてが上手く機能してたらどういう形になったんだろうなー。そんなことは絶対無いのかなー。なんてことを考える行為もそのまま作品に繋がってるのかしら。まさに「間」と「無」のあいだ。
ということで、なんだかんだありながらも無事終わった蛸蔵ラボvol.4。
この企画が続いて行く先にはどんな高知の演劇シーンになっているかなー。楽しみじゃ。