劇団子供鉅人「チョップ、ギロチン、垂直落下」(2017.10.23)
昨日はHEPホールにて、劇団子供鉅人さん「チョップ、ギロチン、垂直落下」を見てきましたよー。
子供鉅人さんは昨年の蛸蔵ラボにご参加いただき、「オノマトペプロレス」なる狂気のインプロWSで高知のみんなといっぱい遊んでいただきまして(いや、WSでは演劇の基本の「受ける」「返す」を丁寧にやっていただいたと聞いていますよ)、その時に購入したDVD「真夜中の虹」の溢れる愛に打ちのめされ(すっごい作品だった!)、今回満を持しての本公演初観劇となりました。
タイトルの「チョップ、ギロチン、垂直落下」。フライヤーの写真。DMに書かれた「プロレスを描いた演劇では無く、演劇をプロレスで描く」という言葉。
実はわたくし、結構なプロレスファンでして、正統派から正反対のジャンルまで、そこそこ広く長く見ております。プロレスと演劇の境界に突っ込んだ「マッスル」(2004年〜2009年)は、演劇作品としても心震える興業が多々あり、「プロレス側から演劇に突っ込んだ形がマッスルなら、演劇側からプロレスに突っ込んだらどうなるのだろう?」とドキドキワクワクして本番に臨みました。
果たしてその実際は…どストレートな人間ドラマでした。
千葉の田舎で鬱屈した青春を過ごしていた少女二人がプロレスラーを目指して上京し、分かりやすい成功と挫折を味わう物語。
そこで描かれるプロレスの世界は、かなーりオブラートにくるまれており、ズブズブのプロレスファンには少し物足りなく、けどあまりプロレスを知らない方には一番自然に届く感じなのかなーなんて思ったり。
いや、世界はさておき、プロレスの一番の魅力は「試合」です。
みんな真剣。特に最初の、億なつきさんと益山寛司さんのぶつかり合いは凄かった!あの体の張り合い、場外乱闘!
開演前にお客さんにコールの練習をさせる益山貴司さんの前説が効いてましたね。プロレスの空気を作るには、客席の盛り上がりが必須ですもんね。プロレスの大きな魅力である「共犯関係」を、前説と最初の試合でみごとに掴んだんじゃないでしょうか。
以降の展開も、シンプルなお話を個性的なキャラクターのテンポの良さで笑かせながら、ある場面ではほろりとさせ、ある場面では激しい戦いがあり、悲しい結末のエンディングになんだか分からない高揚感で突っ込んでいく感じは、もうなんとも…これまでの観劇で受けたこと無い不思議な感覚でした。
「真夜中の虹」もそうでしたが、益山貴司さんの根底に流れる愛情が、注ぐ器(作品の世界)によってまったく形を変えて描かれるんだなー。演劇とは自由で豊かなものだなーとつくづく思った次第です。
みなさん、素敵な作品をありがとうございました!東京公演も頑張ってくださーい!!