地域創造リージョナルシアター事業レポート(2012.12)

「劇場は地域にとって、どのような存在であるべきか。」
「劇場は地域の表現者とどのように繋がっていくべきか。」

ホール職員として働くうえで一番中心となる指針なのですが、実際は日々の業務に追われ、企画を検討する際も、どこまでホールのミッションに立ち返っているのか、この研修を終えて振り返るとたくさんの反省点が浮かんできます。

本事業に参加させていただいたことで、信じられないくらいの大きな収穫と、目の前にあるにも関わらず見えていなかった今後の課題が洗い出された5日間でした。

何よりも大きな収穫は、表現者と共に、ひとつの企画を丁寧に練り上げ、掘り下げていく作業でした。日常の業務では先に着地点を作り、そこに見合うピースを埋めていく(表現者に趣旨を伝えて参加してもらう)という作業になりがちですが、今回は「次代の人材育成」という劇団にとっても、ホールにとっても大きな目標と、「劇場を遊ぶ」といういくつかのヒントを手がかりに、表現者と膝をつき合わせ、たくさんの意見を出し合い、まとめたアイデアをまた壊し、作り直す作業を繰り返すことで、少しずつ企画の本質が浮かび上がってくるという、まるで夢のような体験でした。

それは、今までのようなホール担当者だけでは辿り着けない、表現者との共同作業だからこそ生まれてくる瞬間だったのではないでしょうか。

そして、その際にいただいたアドバイザーの皆さんのお言葉は、今回企画したプログラムのみならず、劇場・表現者双方の今後の活動の大きな道しるべにもなると思います。

また、開催館である北九州芸術劇場の皆さんの行き届いた対応や、一緒にワークショップに参加いただいた北九州の演劇関係者のいきいきとした姿、精力的な取り組みを模索する豊岡の皆さんなど、本事業に参加したことで、今後の繋がりという面では非常に大きな収穫となりました。

最後に、緻密に構成されたこのプログラムを組み上げ、丁寧な創作環境を準備いただいた地域創造のスタッフの皆さんに多大なる感謝と、高知の表現者と共に、この経験を伝え・拡げていく責任を持って、今後の活動に繋げていきたいと思います。